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『ターミネーター:ニュー・フェイト』監督、ジェームズ・キャメロンとの再タッグに否定的 ─ 創作での衝突、「自分がコントロールできない状況だった」

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』ジャパンプレミア
©THE RIVER

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』は、映画史に残る傑作『ターミネーター2』(1991)の正統なる続編であり、シリーズの創造主ジェームズ・キャメロンが脚本・製作に復帰した一本だ。監督に起用されたのは『デッドプール』(2016)のティム・ミラーである。

しかしながらキャメロンは、以前、創作の過程ではミラー監督と幾度となく衝突していたことを明かしていた。では、大御所と激突したミラー監督はどのような思いだったのか。

この記事には、映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』のネタバレと捉えうる内容が含まれています。

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KCRWにて、ミラー監督は「ジム(ジェームズ)とデヴィッド・エリソンはプロデューサーでしたが、2人にファイナルカット(最終編集)権があって、一番強い力を持っていました」と語っている。「それでも僕の名前は監督として載る。たとえ戦いに負けたとしても、僕には戦う義務があると思います。映画のために戦うことが、監督のやるべきことだと思うから」。

この背景には、日本国内では大ヒットを見せている『ニュー・フェイト』が、本国や海外において、必ずしも成功と言える興行成績を打ち出せなかったという現状がある。「たとえ負けたとしても」とは、すなわちそういうことなのだ。ミラー監督は、再びキャメロンとタッグを組むかどうかと問われるや「ノー」と答えている。「けれど、それは今回負ったトラウマとは関係ありません。どちらかといえば、自分が正しいと思うものをコントロールできない状況をもう味わいたくはないからなんです」。

ジェームズ・キャメロン
ジェームズ・キャメロン Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28003289954

実際のところ、プロデューサーとしてキャメロンは『ニュー・フェイト』の撮影現場を一度も訪れていなかったとのこと。それでもミラー監督によると、撮影段階で2人の意見が合わないことは少なくなく、たとえばキャメロンが重要視した場面をあらかじめミラーがカットしたケースや、ミラーが気に入ったセリフをキャメロンが不要だと考えたケースもあったという。劇中で人類を追い込む「リージョン」の扱いについても、2人は対立していた。

「僕が考えたのは、リージョンはあまりに強いから、時間を遡って、まだ未発達なうちに潰さなければ勝てないというもの。だけど、ジムは“人類が負けることのどこがドラマチックなのか”と。僕に言わせれば“人類が勝利することのどこがドラマチックなのか、なぜ勝ち続けなければいけないのか”という感じですけどね。僕は“最後の抵抗もの”が好きなんですが、それは彼の好みではなかったんです。」

もっとも、自身も映画監督であるキャメロンは、ミラー監督の心境についても多少は推し量っているのかもしれない。以前、「創作のバトルで飛び散った血を今も洗い流しているところ」と語っていたキャメロンは、映画が公開された今でも、ミラーに個人的な連絡を取っているようなのだ。ミラーいわく、「先週、ジムからメールが来ました。“12月にロサンゼルスに戻るから飲みに行こう”と書いてありました」

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』は2019年11月8日(金)より全国公開中。

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Sources: KCRW, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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