【実験】『ニンジャバットマン』を1日に3回キメたら「クレイジーの向こう側」に到達した

「『ニンジャバットマン』を1日に3回観るべし」。
THE RIVER編集部で唯一『ニンジャバットマン』を観ることができていなかった筆者に、ある日この司令が下ったときには耳を疑った。何を言われているのかがわからなかった。確かに早く観たいとは思っていたものの、それにしたって1日3回は完全に想定外だったのである。
考えてみてほしい。そもそも、映画館で1日に3本の作品を観ることはそこそこ大変だ。体力も精神力もある程度は必要になる。それが全部『ニンジャバットマン』だときたら、確実にヤバい戦いになることは想像がつく。なにせ本作は、国内外で「クレイジー」「狂ってる」という声が数多く聞かれる作品なのだ……。
しかし“妥協は死”である。どうせやるなら徹底して、可能なかぎり間隔を空けずに3回連続で鑑賞してみようではないか。
『ニンジャバットマン』1回目:早くも満腹状態に
2018年6月23日。『ニンジャバットマン』の日本公開から2度目の土曜日に、筆者は最寄りの上映館であるMOVIX京都に足を運んだ。上映開始は13時10分、いよいよバットマンと一緒に中世日本へタイムスリップする1日の始まりである。まずは初見とあって、このあと2回観ることはいったん忘れて客席に座ってみた。
それが鑑賞後、最初に思い浮かんだ感想である。85分間をノンストップで駆け抜けるスピード感、予想の斜め上どころか(文字通り)異次元へ突き抜けるストーリー、隅々まで作り込まれたビジュアル、手に汗握るカッコいいアクション、要所で確実にテンションをブチ上げる音楽。ハチャメチャな展開に呼応して熱を帯びていく演出や、“なんでもあり”を体現するメイド・イン・ジャパンならではのアイデアは過剰なまでにエネルギッシュで、まるで映画館を『ニンジャバットマン』という嵐が通り過ぎていったかのよう。でも正直、超楽しかった。
そして驚いたのは、この映画が「意外にも折り目正しいバットマン映画」だったことだ。バットマンはきちんとカッコいいし、ジョーカーはキレまくった魅力を発揮してくれるし、キャットウーマンはキュートさとエロスを兼ね備えていて、ハーレイ・クインは底抜けにポップでかわいい。敵味方を問わず、次々に登場するキャラクターはそれぞれ超魅力的だ。しかも「バットマン」というヒーローの“不殺”なるテーマに目配せして、ジョーカーとの関係性にこれほど真正面から挑んでいるなんて! ジョーカーのキャラクターからも、いまや伝説となった『ダークナイト』(2008)のヒース・レジャーを乗り越えようという意志がビシビシ感じられる。これは決してただのイロモノじゃない…初めてバットマンを観る人にもお薦めできるっ…!
『ニンジャバットマン』2回目:緻密さに感動する
2回目の鑑賞はイオンシネマ京都桂川、国内有数の『ニンジャバットマン』ドルビーアトモス上映館である。上映開始時間は16時10分、1回目の鑑賞終了から1時間25分後だ。
少々早く映画館に着いてしまったので、パンフレットを読みつつコーヒーを飲み、ひとまず心を落ち着ける。ところでこのパンフレット、インタビューや設定資料、プロダクションノートなど、ビジュアル・文章ともに充実しているので、映画を楽しんだ方にはぜひお薦めしておきたい。