ロバート・レッドフォード、ジム・キャリー、リチャード・ギア…なぜかアカデミー賞に恵まれないスター俳優たち

ロバート・レッドフォードが俳優業から引退する意向を発表しました。
レッドフォードは、1960年にテレビ・映画で俳優としてキャリアをスタートさせ、『明日に向って撃て!』(1962)でブレイク。1970年代にはハリウッド屈指の美男俳優として一世を風靡しました。1980年代には監督業にも進出し、『普通の人々』(1980)ではアカデミー賞の最優秀監督賞も受賞しています。引退する意向を示したのは俳優業のみであり、監督・プロデューサーとしての引退は表明していませんが、今後の意向に変化がなければ、実在した強盗フォレスト・タッカーが70歳代で脱獄を成功させたエピソードを描く『The Old Man & the Gun(原題)』(2018)がスクリーンでの彼の見納めとなります。
非常に寡作(特に2000年代以降の出演作はわずか5本)でありながらアカデミー賞を3度受賞したダニエル・デイ=ルイス、史上最多のノミネート数で受賞3度のメリル・ストリープ、4度受賞のキャサリン・ヘップバーン、3度受賞のジャック・ニコルソンといった、いわゆる“アカデミー会員”に愛された面々と比較すると寂しい結果を言わざるを得ません。
今回はレッドフォードと同じく、アカデミー賞無冠のスター俳優たちを振り返っていきます。
コメディに冷たいアカデミー賞
そもそも、アカデミー賞はどのような作品に出演した、どのような俳優を選出しているのか。
どのような賞にも傾向がありますが、アカデミー賞の特徴に「コメディに冷たい」ことが挙げられます。それは権威ある賞であり、アカデミー賞との一致率も高く、有力な前哨戦と見なされているゴールデングローブ賞と比較するとよくわかります。
ゴールデングローブ賞はアカデミー賞とは異なり、作品賞がテレビ部門と映画部門に分かれており、そのなかでドラマ部門とミュージカル・コメディ部門に分かれています。演技賞の助演部門はドラマとミュージカル・コメディで共通ですが、主演部門はドラマとミュージカル・コメディで分けられているのです。
たとえばジム・キャリーは、これまで最も多く涙をのんだ存在の一人と言えるでしょう。
ピーター・ウィアー監督の『トゥルーマン・ショー』(1998)でゴールデングローブ賞の主演男優賞(ミュージカル・コメディ)部門を受賞。同作は非常に高い評価を受け、アカデミー賞でもウィアーが監督賞、エド・ハリスが助演男優賞候補になりましたがキャリーはまさかの候補漏れ。翌年の『マン・オン・ザ・ムーン』(1999)でもゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞し2年連続受賞の快挙を果たしましたが、やはりアカデミー賞では候補にも入りませんでした。
長年コメディをメインフィールドにしていたコリン・ファースも、アカデミー賞初ノミネートはシリアスな『シングルマン』(2009)、初受賞も『英国王のスピーチ』(2010)でした。同じくコメディのイメージが強いスティーヴ・カレルも、2018年時点でのノミネートは『フォックスキャッチャー』(2014)のみであり、アカデミー賞への近道はシリアスな良作に出ることと言えそうです。