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【秋の夜長完全ガイド】また逃した!ノーベル文学賞候補の米国人作家作品を映画で

ノーベル賞 映画

2016年のノーベル文学賞には、ボブ・ディランが輝いた。

日本では、村上春樹が逃したことや、シンガーソングライターが受賞したことが取りざたされているが、この受賞で最も落胆したのは、アメリカ人作家たちではないだろうか。

ノーベル文学賞は、ヨーロッパの作家が中心となりつつも、受賞者の出身地域がなんとなく連続しないようになっている。2015年ベラルーシ→2014年フランス→2013年カナダ→2012年中国→2011年スウェーデン→2010年ペルーといった具合だ。今年はアメリカ(北米)がとったので、普通に考えて今後数年アメリカ人作家が受賞することはないだろう。

そもそも、アメリカ人作家の受賞はそれほど多くない。スタインベックやヘミングウェイなど歴代受賞者はそれなりにいるのだが、近年は1993年のトニ・モリソン以降誰も受賞していない。2013年にカナダ人のアリス・マンローが受賞したとき、北米勢として今後数年の受賞を諦めたとは思うが、今回のボブ・ディランの受賞でさらに受賞の夢が遠ざかることになったのは間違いない。

そういうわけで、この機会にノーベル賞候補と囁かれているアメリカ人作家たちの映画化作品を紹介したい。さすがアメリカ人大作家たち。映画化された作品も多いので、まずは映画から入ってみるのもアリだろう。

ノーベル賞 映画

コーマック・マッカーシー

http://flavorwire.com/492813/the-strange-case-of-cormac-mccarthy-screenwriter
http://flavorwire.com/492813/the-strange-case-of-cormac-mccarthy-screenwriter
文学的でありながら、ゴリゴリとしたハードボイルドな文体が魅力のコーマック・マッカーシー。彼の文章には大きな特徴がある。カンマをほとんど使わず、人物のセリフでも引用符を用いないのだ。翻訳本でも、句点や鉤括弧は用いられずに訳されている。それだけで文章から圧を感じて、強烈に引きこまれてしまう不思議をぜひ感じていただいたいのだが、まずは映画でその世界観を垣間見てほしい。そして、ストーリーも圧倒的に面白いのが人コーマック・マッカーシーの凄いところだ。

『血と暴力の国』(映画題名『ノー・カントリー』)

コーエン兄弟が映画化したクライムスリラー『ノー・カントリー』。作品賞を含め、アカデミー賞4部門に輝いた名作だ。基本はメキシコとの国境地帯で大金を拾った男と、それを追う殺し屋との追跡劇だが、ハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーの暴力シーンがハンパなく、大絶賛を浴びた傑作だ。難解な作品ながら、ヒットを記録した。

『すべての美しい馬』(映画題名『すべての美しい馬』)

テキサスの青年がカウボーイに憧れてメキシコへと渡る物語『すべての美しい馬』。マット・デイモンとぺネロペ・クルスのラブロマンス推しで宣伝されていたが、センチメンタルでハッピーなラブストーリーなどでは全くない。やはり顔をもたげる世界の残酷さを目撃してもらいたい。

ザ・ロード』(映画題名『ザ・ロード』)

ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化された『ザ・ロード』は、大災害後で文明が消滅した世界を彷徨う親子を描いた作品。絶望的な状況の中で、善き者であろうとする親子の姿が印象的だ。原作はピューリッツァー賞を受賞したベストセラー。

映画脚本を担当した『悪の法則』

コーマック・マッカーシーが映画脚本を書き下ろした『悪の法則』は、リドリー・スコット監督のクライム・サスペンス。少し調子にのっている弁護士が、軽い気持ちでヤバい仕事に手を出したらメキシコの麻薬カルテルに目を付けられ、恐怖のどん底に突き落とされるというストーリーで、とにかくキャストが豪華で話題になった。難解かつ暴力的で、悪趣味でありながら哲学的でもあるという強烈な内容は、酷評と大絶賛と真っ二つに評価が割れた。

トマス・ピンチョン

http://blogqpot.com/images/tom%20pynchon
http://blogqpot.com/images/tom%20pynchon
アメリカ文学界で最も存在感があるといっても過言ではない覆面作家トマス・ピンチョン。出版した作品数は決して多くはないが、そのどれもが異様に長く、異様に難解だ。あらゆるジャンルの知識が膨大に注ぎ込まれた彼の作品は、迂闊に手を出せる代物ではない。大きな賞の受賞式でも姿を現さず、ときには辞退する。熱狂的なファンが多いのも特徴。

Writer

umisodachi
umisodachi

ホラー以外はなんでも観る分析好きです。元イベントプロデューサー(ミュージカル・美術展など)。

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