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ブルーレイを買えば「作品の管理者になれる」 ─ ノーラン「邪悪な配信サービス」発言にギレルモ・デル・トロが同意

クリストファー・ノーラン ギレルモ・デル・トロ
GuillemMedina https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Guillermo_del_Toro,_Festival_de_Sitges_2017.jpg | Georges Biard https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Christopher_Nolan_Cannes_2018.jpg | Remixed by THE RIVER

映画監督クリストファー・ノーランの発言が、インターネットでにわかに物議を醸した。最新作『オッペンハイマー(原題)』のブルーレイ発売にあたり、「自宅の棚に置けば、もう邪悪なストリーミング・サービスに映画を盗まれることはない」とジョークを口にしたのだが、果たしてその真意はいかなるものだったのか。

米The Washington Postでは、「ただのジョークでしたが、インターネットに載ればジョークではなくなってしまいます」と説明。もっとも、コメントがすべて冗談だったわけではなく、「危険はあります。ストリーミングにしか存在しなければ、取り下げられたり、自由に出し入れされたりする」と強調した。これこそ、ノーランがソフトの所有を呼びかけた意味のひとつだ。

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近年、ストリーミング・サービスの台頭によって少なくない映画やドラマシリーズが配信限定となったが、それらの作品はつねに配信停止のリスクを負っている。たとえば、ディズニープラスで配信されたドラマ版「ウィロー」(2022-2023)は、シーズンの完結から半年も経たないうちに配信が終了した。コスト削減のため、同時期には「ウィロー」以外にも複数のオリジナル作品が削除され、いずれも視聴の手段が失われたままになっている。

このノーランのコメントには、同じく映画監督のギレルモ・デル・トロも同意した。「物理メディアには『華氏451』(人々が本をすべて暗記し、愛した本そのものになる)と同等の責任があります。愛する映画の素晴らしい4K UHDやブルーレイ、DVDなどを所有しているのなら、あなたは次世代のための作品の管理者となるのです」。

デル・トロといえば、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(2022)や「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」(2022)など数々の作品でNetflixとタッグを組んできたフィルムメーカーだ。そのデル・トロが物理メディアの重要性を語ることには、ノーランとはまた異なる説得力がある。

なお、ノーランはブルーレイの製作にもこだわっていることを先日明かしており、『オッペンハイマー』では作業に数ヶ月を費やしたと語った。「私は劇場を愛することで知られていますし、実際に人生を捧げていますが、映画をご自宅に届ける方法も同じくらい大切に考えているのです」。

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Source: The Washington Post

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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