『オッペンハイマー』大反響にノーラン驚く ─ 「扱いにくく、物議をかもすかもしれない題材」

「15、16歳の若者が、オッペンハイマーの仮装をして映画館に行くなんて予想もしませんでした」。映画『オッペンハイマー』で見られた観客の反応に、監督のクリストファー・ノーランが驚きを示している。
『オッペンハイマー』は第二次世界大戦中に行われた原子爆弾の開発・製造を行うマンハッタン計画を主導した物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの半生を綴った1作。米国では同日に公開された『バービー』との連続鑑賞を促進する「バーベンハイマー(Berbenheimer)」という社会現象まで巻き起こった。
米Colliderのインタビューにて、ノーランは「観客の皆さんが、私の意図した通りに映画を解釈してくれたと感じてすごく安堵した」と語り、本作に寄せられた反響を振り返っている。
「とりわけ扱いにくく、物議をかもすかもしれない。とてもシリアスな題材です。反応の強さは我々の最大限の期待を遥かに超えるものでした。特に15、16歳の若者がオッペンハイマーの仮装をして、映画館で映画を観るなんて予想もしませんでした。」
本作の特徴のひとつは、オッペンハイマーの原爆や兵器開発への姿勢が表情から伝わるような、観客一人ひとりに解釈を委ねる演出。ノーランも「この映画のエンディングには多義的な反応があると思います」と述べ、自身が目の当たりにしたリアクションを振り返る。
「とても影響を受けた方々もいますし、それは試写を始めてすぐにわかったことでした。少人数向けの試写を行うたび、エンディングへの強い反応があったのです。特定の理由があるわけではなく、この題材を貫く絶望や虚無主義という、より一般的な意味で非常にうろたえる方々もいました。反応の強さや幅広さには、我々も驚くばかりでした。」
先のバーベンハイマー現象も後押しし、現時点で『オッペンハイマー』の世界累計興行収入は9億4,900万ドルを突破。ノーラン監督史上最大の成績を記録した。これについて、ノーランは「観客が見たことのないものを望んでいるということが興行成績からも明らかです」と語っていた。
映画『オッペンハイマー』の日本公開は未定。アメリカでは早くも映画の成功に便乗する形で、バーベンハイマー現象に着想を得たB級コメディ映画『Berbenheimer(原題)』が企画されている。
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Source: Collider, Variety, Box office Mojo