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ゲーム『ゴールデンアイ 007』開発者、オッドジョブは「チートキャラ」だったと認める ― 小さくて攻撃当たらない問題

ゴールデンアイ 007
Public Domain https://www.flickr.com/photos/145685015@N04/29975025361/

1997年に任天堂から発売された、NINTENDO64用ゲームソフト『ゴールデンアイ 007』。おなじみ、映画『007』シリーズの一本『007 ゴールデンアイ』(1995)のゲーム版なのだが、一人でプレイするミッションモードはもちろん、最大四人で遊べる対戦モードがその大きな人気の理由となった。

対戦モードの特徴は、ジェームズ・ボンド以外にも複数のキャラクターをプレイヤーとして扱えること。しかしその中には、どう見てもずば抜けて強いキャラクターがいた。映画『007 ゴールドフィンガー』(1964)に登場した用心棒オッドジョブである。
映画では日系人プロレスラー&俳優のハロルド坂田が演じたこのキャラクター、身長が小さいため、とにかく攻撃が当たらないのだ。

ゲームの発売から20年以上が経過した現在、ゲームの開発に携わったアーティスト&プログラマーであるカール・ヒルトン氏とマーク・エドモンズ氏は、オッドジョブがいわゆる“チートキャラ”であったことを認めている

米MEL Magazineにて、ヒルトン氏は「テストプレイの時点で、全員がこのキャラクターはズルいと思ってましたよ」と告白した。「でもすごく楽しかったので、削除するのはもったいなかったし、そこを変えようという気は誰にもなかったですね。」

またエドモンズ氏も「オッドジョブでプレイするのは絶対にズルでしょ!」と言い切る。

「でもみんなで遊ぶ時には、オッドジョブでプレイするヤツをからかったり、ブーブー言ったり、非難したりするという楽しみができましたから。個人的にはジョーズ(1977年の映画『007 私を愛したスパイ』に登場)を選んで、オッドジョブでプレイしている人をボコボコにするのが好きでしたね。こういう明らかなチートを控える手もありましたけど、でも、プレイヤーがそれぞれにルールを決めていいはずなので。」

『ゴールデンアイ 007』の魅力は、多彩なキャラクターや武器などをさまざまに使い分けて、対戦ごとにプレイヤー同士で暗黙のルールを決められるところにあった。映画『レディ・プレイヤー1』(2017)では本作にまつわる小ネタとして、「オッドジョブでチョップ縛り」という、プレイ経験のある観客でなければ絶対に伝わらないイースターエッグも存在したのである。同作で言及されたことについて、ヒルトン氏は「うれしいですね」と語っている。

ちなみに『ゴールデンアイ 007』の制作終盤まで、ミッションモード以外に対戦モードを用意する計画はなかったという。NINTENDO64にコントローラーを4台接続できることがわかったため、画面を4分割して対戦モードを作ることになったのだとか。しかし、そもそも対戦モードがなければオッドジョブという“チートキャラ”も登場しなかったばかりか、これほどの人気を本作が獲得することもなかったことだろう。名作を名作たらしめる運命というものが、作品づくりにはあるというわけか……。

Source: MEL Magazine
Eyecatch Image: Public Domain

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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