ノーラン、『オッペンハイマー』出演者の役づくりのためチーズを食べさせていた?

映画監督クリストファー・ノーランは、最新作『オッペンハイマー』で、役づくりのため出演者にチーズを食べさせていた──。米Varietyでこう証言するのは、俳優・映画監督のベニー・サフディだ。
『グッド・タイム』(2017)『アンカット・ダイヤモンド』(2020)では映画監督サフディ兄弟のひとりとして、『リコリス・ピザ』(2022)や「オビ=ワン・ケノービ」(2022)では俳優として、どちらもハリウッドの最前線で活躍するベニー。もともと物理学者になりたかったという彼が、『オッペンハイマー』で演じたのは“水爆の父”として知られるエドワード・テラー役だ。
なるべくCGを使わずに撮影することにこだわったノーランは、原子爆弾の開発を目的とした「マンハッタン計画」で創設されたロス・アラモス国立研究所を徹底再現した。テラー役のサフディも本人になりきるべく、数週間かけてテラー自身のハンガリー訛りを習得し、セットでは特殊装具を身につけての演技に臨んだという。
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ノーランがチーズを食べるよう提案したのは、後年のテラーを演じるシーンだった。乳製品を食べると喉に粘液が発生するという俗説があり(もっとも医学的根拠には乏しいようだ)、“歌を歌う前には乳製品を摂取しないほうがいい”と言われるが、ハードチーズは特にその影響が大きいそう。ノーランはサフディにチーズを食べてもらい、少し年老いた声をつくろうとしたのだろう。
もっとも、自身も監督であるサフディは、ノーランの自由な演出ぶりに感銘を受けたと語る。細部までこだわり抜くイメージが強いノーランだが、あらかじめ撮影前にシーンの構想を固めることはせず、照明のみがセットされ、俳優がメイクをしただけの状態から撮影を始めるのだという。
「クリスが“よし、やろう”と言うときは、まだカメラはなし。みんながメイクをして、ただそのシーンをやってみるんです。それからカメラの動きを考える。巨大な映画にもかかわらず、彼はそれだけの自由を制御しているんですよ。ひとりの役者として最高の気分でした。完璧な映画のように思えるけれど、そのつくり方はほとんど真逆。とてもゆるやかにつくっているんです。」
映画『オッペンハイマー』は2024年日本公開。
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Source: Variety