『エスター ファースト・キル』エスター役、エスター姿でハロウィンパーティーに行ったのに誰にも気づかれなかった【6000文字単独ロングインタビュー】

前作『エスター』(2009)のネタバレが含まれています。
──イザベルさんのInstagramを見ると、ずっとエスターを愛しているようで、嬉しくなりました!ハロウィンにはエスターのコスプレをしていたでしょう?野外のパーティーで、エスター姿で焚き火の前で踊っていた。それこそ「エスターだ!」って周りに気づかれませんでしたか?
この投稿をInstagramで見る
あのコスプレは急遽やることになったやつで(笑)。インスタ用にエスター姿で動画を撮ろうということで、友達と遊んでたんです。毎年、ハロウィンになると友達みんなでコスプレをして出かけるんですよ。でもあの時は、何のコスプレをするかが全然決まらなくて、コスプレ衣装を買いに行くのも嫌だったから、もうエスターでいいや!って(笑)。
で、めちゃくちゃ面白いんですけど、あの日はいろんな人が私のところに来て「すげぇ~!エスターそっくりじゃん!やば~!」って声をかけられたのに、誰も私が本物だって気づいてなかったんです!やばいですよね!
──マジですか!そんなことある?(笑)
ねー、本当に!一晩中エスター姿でウロウロしてたのに(笑)。みんな「そのコスチューム、めっちゃリアルですね!」「まるで本物ですね!」とか言ってくれるんですけど、いや私本物ですけど!って(笑)。私がじっくり見つめても、それでも気付かれないんですよ。私、これから毎年ハロウィンのコスプレはエスターでいく(笑)。
──最高じゃないですか(笑)。それじゃあ、役作りについてお聞きします。シガニー・ウィーバーは『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で14歳の役を演じていますが、実際に14歳の少年少女と長い時間を過ごして、役作りを行ったそうです。あなたの場合、10歳のキャラクターを再演するにあたって、どんな準備を要しましたか?
それが面白くて、初めてエスター役を演じた10歳の時は、「どうすればもっと大人っぽく見えるか」ということをずっと考えていました。なぜならエスターの正体は、子供のふりをしている大人だったからです。
本作の撮影では、私は23歳になっていましたが、今度はいかに当時っぽさを出せるかが鍵だった。1作目の脚本も読み直したし、映画も観直しました。10歳当時に書き留めていたノートも見直しました。今でもキャラクター造形を細かくノートに書き込むようにしているんですけど、10歳の私もめちゃくちゃ細かく書いていて面白かった(笑)。
どうすれば子どもっぽく見えるかをずっと考えていたんですけど、ラッキーなことに、今回は2人の少女、セイディーとケネディという子たちが、エスターの後ろ姿のカットのために参加してくれたんです。彼女たちが毎日撮影に来ていたので、毎日2人と一緒に過ごして、遊んだり、おしゃべりしたりしたんです。そのおかげで、若さや子どもらしさを自然に感じ取ることができました。
でも、やっぱり今回の方が楽だったと、よく冗談で言っています。だって、今回は「子どものふりをする」だけだけど、前作は「子どものふりをする大人のふりをする子ども」だったわけだから(笑)。

──そんな前作を手掛けたジャウム・コレット=セラ監督とは、この続編についてお話しされましたか?
はい。本作がアメリカ公開される前に、一緒にランチに行きました。すごく楽しい時間でした。彼は、10歳当時の私のイメージのまま変わらなかった(笑)。今では良き友人として、いつも良いアドバイスを与えてくれます。私の初めての映画仕事が、エスターというアイコニックなキャラクターで、それをこの素晴らしい監督とご一緒できたことを、とても幸運に思っています。本作の撮影を終えた時、ようやく私のキャリアにおける一つのチャプターが完結したように感じられました。でも実際には、ここからまた新しいチャプターが始まるわけですけれど(笑)。
──まさにそうですよね!『羊たちの沈黙』(1991)だって、そこから『ハンニバル』シリーズに派生したし、TVドラマも誕生した。だから『エスター』もシリーズ化するんじゃないかと勝手に期待しています。更なる企画の話は出ていますか?
実は、話しています!でも、正式に実現するかはわからないから、様子見ってことでお願いします。
──本当ですか!手応えとしては?
どうでしょう。とりあえず、私に権限があるわけじゃないので。もし私に権限があったら、明日にでもやりますけどね。実際には、また戻ってくるためにはいろいろな段階を踏まなくちゃいけない。私としては、またエスターを演じたいです。もしも皆さんがまた観たいと思ってくださるなら、もちろん私は演じさせてもらいますよ。
──でも、どうなるんでしょうね?前作の結末的に、やっぱり過去を掘り下げていくしかないのかなと……。
かもしれないですね!まぁ、私は脚本家じゃないからわからないですけど(笑)。でも、そこは映画の魔法ってやつで、何だってできるわけですよ。エスターの過去を掘り下げるのか、未来に進むのか、私には全くわかりません。繰り返しにはなりますが、私はエスターが大好きなので、需要があるのならまた演じたいです。
──お友達やご家族は、あなたのエスター役再演にどんな反応でしたか?
みんなびっくりでした!私のことを10歳当時から知っている人ばかりだから、「ヤバいね!マジで10歳じゃん!」みたいな(笑)。そう思ってもらうのが望みだったから、よかったです。
今作ではジュリア(・スタイルズ、母トリシア役)と過ごす時間が多かったんですけど、彼女は大きな厚底ブーツを履いて、私はスクワット状態で。「これがうまくいくといいな」と思っていたんですけど、映像を見たらバッチリでした。これって映画史上最高の映像トリックなんじゃないかってくらい。
そもそも、大人になった役者が子役時代の役を再演するってこと自体、映画史上初めてのことです。大人になった役を再演するのでなく、子ども時代を再演したわけですからね。それがバカバカしく観られることなく、映画が気に入ってもらえて、良い反応が得られたり、もっと観たいと思ってもらえることが、本作がうまくいったという証になっていると思います。
──10代当時の役をもう一度演じるにあたって、難しかったことはありますか?当時の手法をそのまま試したら、なんだかうまくいかなかった、みたいな。
そんなことはありませんでした。そもそも10歳の頃の私は、全てを理解していたわけじゃなかった。例えば1作目には性的な描写もありましたが、当時の私はセックスがなんなのかもわかっていませんでしたから、そのシーンについて誰も私に説明しませんでした。ただ、「ここで彼女は注目を惹こうとしている、誰かに愛されようとしているのに、不気味がられていて、気にもかけてもらえないんだ」というだけの説明で。
でも実際、それが彼女の感覚の“核”を出すのに必要な要素だったわけです。だから私は今作の脚本でも、あまり大人の目線で分析しすぎないよう、理性で分かろうとしないよう努めました。前作同様、このシーンの根底にある感情ってなんだろうと。それが1作目のエスターで評価された要素だったからです。子どもの頃のあの感性、役者として自分が何をやっているのかをあまり理解していない感じ。前作で学んだことをどう活かすか、その中間を見つける感じです。
もちろん10歳当時にそのまま戻って、子ども時代の感性をまたそっくりそのまま出せるとは思っていなかったから、何か新しいことをやらなきゃと考えていました。結果として、私と、さっき話した2人のエスター役の子どもとの間で、うまい落とし所を見つけることができたんです。これなら試せそうだという具合のものが。

──本作では、『エスター』前作に負けず劣らずの、むしろもっとショッキングな衝撃展開がありました。前作のファンに対して、どのように進化したと語りたいですか?
この『エスター』シリーズは、他にはない独自のジャンルを作り上げていると思います。ただのサイコスリラーやホラー映画ではなく、本当にショッキングで、必ず衝撃展開がある。1作目同様、本作でもそうやって劇場の観客を驚かせられるのは、最高なことです。私自身、今作の脚本を読んでそう思ったからこそ、やっぱり続投したいと思ったんです。
──素敵なお話をありがとうございました!これでお時間になりました。いつか、日本を訪れてくださいね!
行きたいです!本当に行きたい!一番行きたい国なんですよ。近いうち行けたらいいなと思います。日本には、まだ行ったことがなくって!

『エスター ファースト・キル』は公開中。