2023年アカデミー賞、司会者がウィル・スミスのビンタ事件イジる「ステージに上がりたいならマンダロリアンやスパイダーマンを倒せ」

日本時間2023年3月13日に米ロサンゼルスのドルビーシアターで開催された第95回アカデミー賞授賞式では、冒頭でジミー・キンメルがスピーチを行った。前年度開催時に大きな話題になったウィル・スミスによる「ビンタ事件」をイジる痛快スピーチに、会場では大きな笑いが起こった。
キンメルは「まず皆様にはお楽しみいただいて、それも安全に過ごしていただきたいと思います。しかし一番大事なのは、私の安全ですね」とジョーク。笑いが起こる中、「今年は厳しいポリシーが課せられました。もしも誰かがこの式典の間に暴力行為を行ったら、その者はアカデミー賞主演男優賞を授与され、19分間の長いスピーチをやってもらうことになります」と、昨年ビンタ後に主演男優賞を獲得したウィル・スミスを大いにイジった。
キンメルは「真面目な話、アカデミー賞は危機管理対策チームがあります。もしもこの式典の最中に、予期せぬことや暴力が起こった場合、昨年と同じ対策が投じられます。“何にもしない”ことです」とさらにジョークで続けた。昨年のビンタ騒動直後、前代未聞の出来事に何ら対応を取れなかった開催側を「ただ座って、何にもしない。もしかしたら、加害者にハグもするかもしれませんね」と皮肉った。
「もしも誰かがジョークに腹を立てて、ここに来て“Jiggy with it”するなら、それは難しいですよ」とキンメルは続ける。“Jiggy with it”は「ノリノリになる」といった意味のスラングだが、ウィル・スミスの楽曲『Gettin’ Jiggy Wit It』にもかけている。
キンメルは、昨年のウィル・スミスのようにステージに上がりたければ「まずは私の友人を倒さなければなりません」として、会場にいるアクションヒーローたちを紹介。「こっちにはヘビー級チャンピオン、アドニス・クリードがいます」と話すと、映画『クリード』の主人公を演じたマイケル・B・ジョーダンがカメラに向かってキメ顔を披露する。
「それからミシェル・ヨーとも戦っていただきます」。ミシェル・ヨーもカメラに向かってポーズを決め、「マンダロリアンも倒していただきます」と語ると、マンダロリアン役のペドロ・パスカルもカメラにアイコンタクトを送る。
「さらにスパイダーマンも相手にしてもらって、」アンドリュー・ガーフィールドがオモシロ笑顔を送ると、「そしてフェイブルマンとも闘ってくださいね」とカメラはスティーブン・スピルバーグに。無論フェイブルマンはスーパーヒーローの名前ではないが、巨匠スピルバーグがカメラに向かってキメ顔を披露するオチに使われるという贅沢ぶりだ。
「さらに、このステージに上がりたいというのなら、私の右腕であるギレルモも倒してください」とキンメルが続けると、カメラがギレルモ・デル・トロを映す。キンメルが「いえいえ、別のギレルモです。デル・トロではありません」と話すと、キンメルの冠番組『Jimmy Kimmel Live!』で警備員役を務めるギレルモ・ロドリゲスがカメラに映る。屈強そうな体つきで、「かかってこい」と言わんばかりに拳を付き合わせている。「彼は可愛らしいけれど、間違いは起こさない。ちょっとでも手を振ったら、リディア・ター(『TAR/ター』の主人公)も吹き飛ばすぞ」とジョークで締めた。
続けてキンメルは、「今夜は、ナンセンスなことはなし。悪ふざけに使う時間なんてありません」と改めると、一部の賞が事前収録されて生放送枠から追い出されてしまった昨年の悪名高い番組改編に触れ、「皆様のご要望を聞き、全て戻しました。今夜は全23部門、生放送でお届けします」と高らかに宣言した。
“If anyone in this theater commits an act of violence at any point in the show, you will be awarded the Oscar for Best Actor and permitted to give a 19-minute-long speech.” jokes host Jimmy Kimmel at the #Oscars. https://t.co/ndiKiHeOT5 pic.twitter.com/qofvMJ8ZD9
— Variety (@Variety) March 13, 2023
前年の第94回アカデミー賞授賞式でウィル・スミスは、司会のクリス・ロックが妻ジェイダ・ピンケット・スミスの脱毛症を揶揄するジョークに腹を立て、ステージに上がって平手打ちをし、その後放送禁止用語も交えてロックを非難した。米国では厳しい批判を受け、映画芸術科学アカデミーからは退会、いわゆる“出禁”状態となっている。
2022年7月には謝罪動画も公開しているが、その後は事件前に撮影を終えていたApple Original映画『自由への道』のプロモーションを除き公の場にあまり姿を見せなかった。現在は『バッドボーイズ』シリーズの第4作『バッドボーイズ4(原題)』を復帰作として準備を進めている。
第95回アカデミー賞授賞式はWOWOWで放送・配信中。字幕版は2023年3月13日(月)夜10:00よりWOWOWで放送・配信。