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なぜ『スパイダーマン』『ヴェノム』邦題は原題のままなの? 『ピーターラビット2』ソニー・ピクチャーズに聞く洋画宣伝の裏側

ピーターラビット2/バーナバスの誘惑

『スパイダーマン』『ヴェノム』邦題の真意

スパイダーマン:ホームカミング
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──ここからは、『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』以外のソニー・ピクチャーズ作品についてもお聞きしていきますね。ソニー・ピクチャーズの作品といえば、やっぱり『スパイダーマン』や『ヴェノム』のシリーズが楽しみです。『ピーターラビット2』では『バーナバスの誘惑』という独自の日本語タイトルをつけていますが、『スパイダーマン』や『ヴェノム』シリーズの副題は、なぜ原題そのままなのですか?

スパイダーマン:ホームカミング』の宣伝がスタートするときに、「邦題どうする?」という議論がおこりましたが、最終的に『ホームカミング』という言葉でいこうと決めました。

というのは、ホームカミングという言葉は「帰郷」を意味し、『スパイダーマン』シリーズが戻ってくるということが訴求でき、さらにホームカミングパーティーという言葉はアメリカの高校ではおなじみのイベントなので、主人公が高校生、つまりフレッシュなスパイダーマンということを訴求できると考えました。原題をそのまま使用することで、SNS上でいろいろな考察が広がるんじゃないかという期待もありました。

結果的に『スパイダーマン』シリーズのタイトルは、“ホーム”という単語で繋がっていくことになりました。原題を尊重してよかったという気付きもあり、『ヴェノム』続編の副題『レッド・ゼア・ビー・カーネイジ』もそのままにしています。新要素である「カーネイジ」という言葉が含まれていることも大きな要因のひとつです。それに、もしも今後『ヴェノム3』が出来たときに、また『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』という副題にリンクするようなタイトルになるかもしれない。今回『カーネイジの逆襲』みたいなタイトルにしてしまって、次回苦しむのもなぁ、という(笑)。

特にマーベルの作品群は、長期的なスパンでブランディングされていますよね。ひと作品のマーケティングだけをみて考えるのではなく、もっと大きく、俯瞰的にとらえたほうが良いだろうと考えています。『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』だって、日本人にとっては分かりづらい言葉ですが、響きはカッコいいですしね(笑)。

──その一方で、日本独自のクリエイティブは大きな評判ですよね。特に『ヴェノム』1作目の「最悪」ポスターは、日本だけでなく海外のファンからも絶賛の声が多かった。

『スパイダーマン3』にも登場したヴィランのひとりで、マーベル・コミックの中では残虐なキャラクターとしてポジショニングされているヴェノムなので「マーベル・コミック史上最も残虐な悪」を訴求することを第一目標に設定しました。

当時、ロサンゼルス本社が開発したポスターは、顔の半分がヴェノムで半分がトム・ハーディでした。これでは、「マーベル・コミック史上最も残虐な悪」という日本のコンセプトが表現しづらい。ヴェノムを最大限訴求するクリエイティブを日本で制作することになったんです。

あの大きな口と鋭利な歯、長い舌や唾液、それから黒いヌメヌメ感。これらを最大限活かすデザインでヴェノムの凶悪さを表現し、「最も残虐な悪」という言葉を縮めた「最悪」という二文字を組み合わせました。

あのポスターは、最初に私がコピー用紙の裏に絵を描いたものが基になっています。これをカッコよくラフに起こしてほしいとデザイナーさんに依頼して、水彩画のようなラフが出来上がりました。それをロサンゼルス本社のクリエイティブチームに送ったんです。

──コピー用紙の裏に手書きで描いたものが、完成版となって仕上がったものを見た瞬間、嬉しかったのでは?

嬉しかったのですが、私が描いたのは鉛筆書きの酷いもので(笑)。綺麗にラフを起こしてくれた日本のデザイナーさんと、素晴らしいCGを仕上げてくれたロサンゼルス本社のクリエイターのおかげです。

でも、いざリリースした時には「“最悪”の文字が要らない」「グロすぎるんじゃないか」という声もあがっていました。そんな中で、今は亡きスタン・リーさんがご自身のFacebookで「素晴らしい」と言ってくださって。そして、ファンの間でも「良いんじゃないか」という声が出るようになり、THE RIVERさんでも海外ファンの声をまとめていただいた記事が出て。正直言って、それまではヒヤヒヤしましたよ(笑)。

──日本版のクリエイティブをリリースするのは、勇気が要るんですね……。

すごく勇気が要ります。以前にも、ジョン・ファヴロー監督の『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014)という作品で制作した日本版ポスターをジョン・ファヴロー監督ご本人がFacebookでほめてくださいました。そういう経験もあり、『ヴェノム』でもチャレンジしようという気になりました。もしもスタン・リーさんが褒めてくださらなかったら、二度とやらなかったかもしれません(苦笑)。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューさせていただきました。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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