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なぜ『スパイダーマン』『ヴェノム』邦題は原題のままなの? 『ピーターラビット2』ソニー・ピクチャーズに聞く洋画宣伝の裏側

ピーターラビット2/バーナバスの誘惑

『スパイダーバース』はアニメファンに届けたかった

スパイダーマン:スパイダーバース
© 2018 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2021 MARVEL.

──『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)でも、USとは違う、大胆な見せ方をされていましたね。US版ではポスト・マローンがフィーチャーされていたり、主人公がバッシュを履いていたり、グラフィティが登場したりと、ヒップホップのイメージです。でも日本版ではTK from 凛として時雨が主題歌に起用されていて、どちらかというとロックで、日本のアニメの文脈で見せられていた印象です。

ロサンゼルス本社が、日本でフォーカスグループ(※複数名の参加者に議論をしてもらうことで、情報やフィードバックを抽出する市場調査方法)を行ったんです。すると、幼稚園児や小学校低学年の子供たちは楽しんでくれるんですが、大人たちはスパイダーマンの(アニメの)絵を見てもあまり反応しない。既に実写版に慣れ親しんでいる年齢層が冷ややかだったんですよ。

でも、設定資料を見ると、マルチバースという設定であったり、映像が斬新だったりと、非常にクオリティが高かったんですね。これを子供たちだけに留めておくのはもったいない。しかし、実写版を好む大人たちはなかなか振り向いてくれない。そこで、理解力や適応能力の高い日本のアニメファンに対して訴求できないか、という戦略からスタートしたんです。

そこで、日本で最高の音響監督である岩浪美和さんにご協力いただき、小野賢章さん、宮野真守さんといったトップ声優陣をキャスティングしました。また、個人的に『東京喰種トーキョーグール』の主題歌の世界観がクールだと感じ、それを歌っていたTKさんに日本語吹替版主題歌を依頼しました。

──マーベルのファン、スパイダーマンのファンのみならず、アニメファンにも刺さった、素晴らしいプロモーションだったと思います。

ただ、やっぱり「ポスト・マローンは使わないのか」という声もSNSで見かけまして、そういった声を見ると心が……(苦笑)。本国版主題歌の「Sunflower」はめちゃくちゃ良い曲ですからね。

──日本版主題歌については、いつも議論がつきものですよね。

我々としては、幅を広げたいという思いがあるんです。TKさんの曲と、宮野さんの声、小野さんの声、そして映像がマッチすることによって、日本のアニメファンも気にしてくれるのではないかと。『スパイダーマン』シリーズでは様々なアーティストとタイアップしていますが、マーベル作品を見てもらうキッカケになるのではないかと思っています。是非ご理解いただければと。ソニー・ピクチャーズでは、おそらく今後もこういった挑戦を続けていきます。

──コロナ禍で来日プロモーションが難しくなり、日本独自のローカライズ訴求が以前にも増して重要になったのではないでしょうか。映画のマーケティングやプロモーションは、コロナ禍によってどう変化したのでしょうか?

通常であれば、劇場での予告編上映が重要な役割を担っていたのですが、コロナ禍によってその環境が維持できない期間も発生しました。それを補完する意味でもデジタルメディアの重要度が増していると考えています。

そのため、「デジタル室」というチームを廃止し、部員全員がデジタル・ファーストで宣伝を行っています。また、宣伝そのものをコンテンツ化することによって、ユーザーと直接コミュニケーションを取るという方法を採用するようになっています。『スパイダーバース』の宣伝では、宮野真守さんと小野賢章さんと悠木碧さんにご登場いただいて、学園モノの動画を制作し、自社のYouTubeチャンネルで配信しました。

──いちファンとしての、先取りな話題です。先日、マーベルの『クレイヴン・ザ・ハンター』がアーロン・テイラー=ジョンソン主演で単独映画化されるというニュースがありました。クレイヴンの映画化は前々から言われていましたが、ようやく主演が決定しましたね。

嬉しかったですが、我々日本支社のメンバーにとっても寝耳に水でした。特にマーベル作品に関してはロサンゼルス本社も情報の取り扱いに慎重です。我々のもとにも突然連絡が入ってくるんですよ。本当にニュースになる直前です。気付いたときには、もう記事化されているくらいです(笑)

──最後に、堀内さんが映画のマーケティングやプロモーションをされていて、やりがいや喜びを実感される時はどんな時ですか?

公開の週末3日間があけた月曜日の朝、そこで映画がヒットしたときです。我々が考えた施策すべてを実行できたときです。映画ビジネスのほとんどは公開日までにマーケティング予算の大半を使い切ってしまいます。お客様が映画館に来る前に…。やり直しは利きません。もうドキドキです。そのすごい緊張感から解放されるその喜びたるや(笑)。


映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』は2021年6月25日(金)より公開中。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(原題)』は2021年12月17日US公開予定、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は2021年公開予定だ。

『ピーターラビット2』監督へのインタビューも

スパイダーマン:ホームカミング
デジタル配信中
ブルーレイ&DVDセット5,217円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
© 2017 Columbia Pictures Industries, Inc. and LSC Film Corporation. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2021 MARVEL.
『スパイダーマン:スパイダーバース』
デジタル配信中
ブルーレイ&DVDセット【通常版】 4,743円(税別)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
© 2018 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2021 MARVEL.

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューさせていただきました。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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