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「スター・トレック:ピカード」に『LOGAN/ローガン』が与えた影響とは ─ パトリック・スチュワート「新スター・トレックの世界、もはや存在しない」

スター・トレック:ピカード

パトリック・スチュワート主演、「新スタートレック」(1987-1994)のジャン=リュック・ピカード艦長を主人公とする新作ドラマ「スター・トレック:ピカード」が、2020年1月24日(金)よりAmazon Prime Videoにて配信される。

スチュワートの演じるキャラクターが年を重ね、かつてとは大きく異なる姿で再登場する作品といえば、『X-MEN』のプロフェッサーX役を演じた最終作『LOGAN/ローガン』(2017)が記憶に新しい。実際のところ、スチュワートも『LOGAN』に出演して初めてピカード役の再演を想像することができたという。米Varietyではこのように語られている。

「ヒュー(・ジャックマン)も私も、最後の『X-MEN』が『LOGAN/ローガン』になったことをすごく興奮していましたよ。二人にとって最高の『X-MEN』になりました。同じキャラクターを演じているけれど、彼らの世界はすっかり変わってしまったわけですから。『新スタートレック』はそういう終わりではなかったし、実際のところ、私たちの最後の映画『ネメシス/S.T.X』(2002)はあまりに良くなかったと思っているんです。」

同じキャラクターでありながら、人物を取り巻く環境を大きく変化させる。このアプローチは、もちろん「スター・トレック:ピカード」にも継承されているものだ。

パトリック・スチュワート
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/9360375657/

「スター・トレック:ピカード」において、スチュワートは製作総指揮も兼任。現実世界の情勢を、作品に反映することを重要視したという。「『新スタートレック』の世界はもはや(現実に)存在しません。本当に安全なもの、確実なものなどないのです」。シリーズの創造主、ジーン・ロッデンベリーの思い描いた未来像には忠実だというが、明らかに違う方向性を探ってもいるようだ。

「ある意味で、『新スタートレック』の世界は完璧すぎるし、守られすぎているんです。それがエンタープライズ号だったんですよね。リスペクトとコミュニケーション、ケア、そして時には楽しい、安全な世界だった。」

ところが「スター・トレック:ピカード」では、文化や科学技術を支え合い、外交や防衛面に共通の価値観と政策を有するはずだった惑星連邦に、孤立主義の季節がやってくるという。スチュワートは本作について、「ブレグジットや(ドナルド・)トランプの世界に反応する」ものだとはっきり述べている。「惑星連邦や宇宙艦隊にも変化が起こるだろうと思ったんです。以前ほど頼りになる、信頼できるものではないのかもしれません」

スチュワートとともに製作総指揮を務めるアキヴァ・ゴールズマンは、以前「『新スタートレック』の続編を作りたいわけではなかった」「もっとスローで、穏やかで、詩的な作品。そして確実に、よりキャラクターに基づいた作品」だと述べていた。あらゆる角度から、「スター・トレック:ピカード」は独立した作品として設計されているようだ。

待望の配信開始に先がけて、スチュワートは「ここ数年間、本当に面白い仕事をさせてもらっています」と語っている。『スター・トレック』を自分の人生やキャリアにおいて大きく捉えているというスチュワートは、ピカード役への復帰について「言葉にするのは難しいですね。見事な作品ですが、それでは足りない。素晴らしい挑戦ですが、もっと大きなことをやりたいんです」と、さらなる意欲を口にした。

ドラマ「スター・トレック:ピカード(仮題)」は2020年1月24日(金)よりAmazon Prime Videoにて配信開始

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Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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