Menu
(0)

Search

『名探偵ピカチュウ』はなぜポケモン実写化に成功したのか ─ 監督、ソニック再デザインは「厳しい状況になった」と危惧

名探偵ピカチュウ
© 2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
© 2019 Pokémon.

非現実的なアニメキャラクターの実写映像化において、おそらく今後『名探偵ピカチュウ』はひとつの基準点となるだろう。世界的人気シリーズ初の実写化に成功した同作は、個性豊かなポケモンを極めてリアルに、しかしながら違和感なく映像化してみせた。

ポケモン実写化、参考は『ファンタビ』

主な舞台となるライムシティは、人間とポケモンが共存する理想郷的都市。そこで見られるのは、「もしもポケモンが実在したらどんなだろう」「ポケモンを連れて歩くって、どんな心地だろう」という、ファンなら誰しも一度は夢見た想像が忠実に映像化された光景だ。

常にファンからの批評に晒される運命にある”実写化”の試みにおいて、『名探偵ピカチュウ』製作陣はどのようなアプローチを取ったのだろうか。共同プロデューサーのアリ・メンデスは米Gamespot「どうすればポケモンたちを我々の世界に取り込めるだろうか」と検討したと解説している。「生きたポケモン、リアルで3Dのポケモンはどんな見た目になるだろうか、と。」

ここで語られたところによると、『名探偵ピカチュウ』ポケモン実写化におけるひとつの目標は『ファンタスティック・ビースト』に近いものを実現するということだった。『ファンタビ』シリーズでは、魔法動物と呼ばれる空想上の生物が活き活きと描かれ、人間のキャラクターたちと交流してみせる。実在の動物に似た毛並みや皮膚、ウロコを持った彼らは、”魔法動物”というその呼称とは裏腹に、あたかも現実に存在しているかのような写実性を兼ねているのだ。

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』より。 (c) 2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (c) JKR.

これに習って、「生物は可能な限りフォトリアルに描いた」とメンデスは説明する。「世界最高峰の視覚効果チームと仕事を共にしました。アニメーションの質や、どうすれば生きているように見せられるかについては、『ファンタスティック・ビースト』をかなり参考にしましたね。

本作監督のロブ・レターマンがTHE RIVERに語っていたところによると、ポケモンたちの質感表現は「動物、植物、鉱石など、自然界由来のもので検討した」という。ピカチュウにふさふさの毛を生やしたのは「ただの黄色い風船みたいになっちゃう」事態を避けるためで、カビゴンにも同様に毛並みを与えたのは「プラスチックみたいなカビゴンはリアルじゃない」ためだ。




最大の要因はファンへのリスペクト

結果として『名探偵ピカチュウ』がポケモンの映像化に見事成功したことは、本編をご覧になれば分かる通り。もふもふのピカチュウはじめ、様々なポケモンたちがライムシティで息づいていた。しかし、この成功において最も大切だった鍵は他にある。極めて使い古された表現だろうが、それは“愛”と”リスペクト”他ならない。

「(製作の)レジェンダリーでは、ポケモンについて非常に情熱的なんです。(ポケモン実写化について)我々は5年前からずっと話してきました。だからこの企画は、長い間我々の中にあったものなんです」と、そもそもポケモンという題材に対する情熱が大前提にあったことを示すメンデスは、日本の「株式会社ポケモンと非常に密に連携を取っていた」という秘訣を明かしている。「(株式会社ポケモンには)素晴らしい協力者の方々がいて、沢山のご指導を頂きました。なぜなら、彼らは我々よりもこのブランドのことをよくご存知だからです。

ロブ・レターマン監督も、製作中は何度も東京を訪れてており、株式会社ポケモンらポケモン関係者や、ゲーム用3Dモデルの制作ディレクターの氏家淳子氏と協力したと語っている。



『名探偵ピカチュウ』製作陣が好印象なのには、彼らに一貫して「ファンのため」という姿勢が染み渡っている点にある。メンデスは「ファンの皆さんが欲しいものをそのまま作りたかったんです。ファンの皆さんこそ、誰よりも(ポケモンを)知っている方々ですから」と語り、筆者もロブ・レターマンへの取材で「ファンの皆さんのためのものを作りたい」「本作は子どもたちのためだけでなく、ポケモンで育った大人たちのためでもある」との愛情を聞いている。同様に、主人公ティム役のジャスティス・スミスとルーシー役のキャスリン・ニュートンへの取材でも「どうしてもファンの皆様に喜んで欲しかった」との熱意が語られており、彼らはジャパンプレミアの場でも「これはポケモン・ファンへのラブレターなんです」と胸を張って宣言している。つまるところ、慢心を持たず、「一番の理解者」という立場をファンに譲ることのできる寛大さに鍵があるのではないか。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Comment

Ranking

Daily

Weekly

Monthly