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『名探偵ピカチュウ』脚本家、ミュウツーを描く難しさとは ─ 『ポケモン』実写化にかけた製作チームの思い

名探偵ピカチュウ

『ポケットモンスター』シリーズを初めて実写映画化した『名探偵ピカチュウ』は、おなじみのポケモンが多数登場するものの、いわゆる“おなじみのポケモン・ストーリー”ではない。物語の舞台は、人間とポケモンが共存するライムシティ。主人公ティムは父親の訃報を聞いてライムシティを訪れ、そこで記憶喪失の“名探偵ピカチュウ”と出会い、まだ生きているらしい父親の消息を追うことになるのだ。

本作の脚本を担当したのは、ドラマ「The Tick/ティック」(2016-2019)のベンジー・サミット&ダン・ヘルナンデス。米Comicbook.comのインタビューで、ベンジーは「僕たちが参加した時には、この映画は『名探偵ピカチュウ』に決まっていました」と語る。

「『名探偵ピカチュウ』はレジェンダリー(・ピクチャーズ)と株式会社ポケモンが合意したものです。ポケモンの実写映画を作るのなら、新しい作品でなくてはいけません。わざわざ作る理由が必要です。既存の作品をリメイクすることはしたくなかったので。」

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それにしても、なぜ『名探偵ピカチュウ』だったのか。企画に途中参加したベンジーは、それが「多くの人々が親しんでいない、ゲームの奇妙な部分こそ、実写で描くのにふさわしいという判断だったのだと思います」と分析している。「ポケモンと人間が一緒に暮らすライムシティというアイデアはとても映画的。僕たちもその話を聞いた時、“最高ですね!”と答えました」。

名探偵ピカチュウ

ミュウツーという存在を描く難しさ

『名探偵ピカチュウ』の予告編で多くのファンを驚かせたのは、ピカチュウやリザードン、コダック、プリンといったおなじみのポケモンどころか、ミュウツーすらさっそく登場させてしまうサービス精神だった。しかしベンジーは、ミュウツーの登場は単なるサービス精神ではなく、「脚本に必要不可欠なものだった」と強調。決して簡単な執筆作業ではなかったことも明かしている。

「ミュウツーは非常に興味深く、また複雑なキャラクターです。この世のものとは思えない美しさや、彼の思い、視点を捉えたいと思いました。この惑星に存在する、きっとほぼ全ての生物よりも博識なポケモンですから。彼は多くを経験しているし、桁外れのパワーも持っている。

そこで僕たちは――能力とは言いたくないのですが――、ミュウツーは未来を知っているようなところがあるのではと思いました。ミュウツーが見てきた過去と現在、未来を、セリフの中で表現しなければならないと思ったんです。ほかのキャラクターよりも多くのものが詰め込まれていて、深い知識もある。ほかのキャラクターにはできないこともできる。ミュウツーを書いている時は、そんなふうに考えていましたね。」

ちなみにミュウツーは、1998年の名作をフルCGでリメイクする『ポケモン』アニメ映画の最新作『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』(7月12日公開)でも大きな役割を担っている。『ミュウツーの逆襲』オリジナル版を観ている方ならば、『名探偵ピカチュウ』のテーマが同作と深い部分で繋がっていることにも気づかれたのではないだろうか。

映画『名探偵ピカチュウ』は2019年5月3日(金・祝)より全国東宝系にて公開中

バリヤードのシーン、製作秘話はこちら

『名探偵ピカチュウ』公式サイト:https://meitantei-pikachu.jp/

Source: ComicBook.com(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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