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『名探偵ピカチュウ』バリヤードのシーン、カットされる可能性あった ─ 超困難な映像化のウラ側、パントマイム芸人も参加していた

名探偵ピカチュウ
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© 2019 Pokémon.

『ポケットモンスター』史上初の実写映画名探偵ピカチュウの魅力は、おなじみのポケモンが絶妙なキュートさやクールさ、そしてリアリティをもってスクリーンに登場するところ。もふもふでしわくちゃのピカチュウを筆頭に、数多くのポケモンが観客の視線を捉えて離さない。

なかでも観客の印象に強く残るのは、本編でひときわ異質な存在感を放つバリヤードだろう。ロブ・レターマン監督お気に入りのポケモンだったが、製作の過程では、登場シーンがまるごと削除されてしまう可能性があったという。THE RIVERのインタビューでも「映像化は本当に大変でした」と語られていた、その舞台裏は一体どんなものだったのか…?

THE RIVERによる監督インタビューはこちら

バリヤードの取り調べ、誕生のきっかけは『セブン』

IGNGameSpotの取材にて、ロブ監督や主演のジャスティス・スミスは、バリヤードの映像化が実現するまでの紆余曲折を明らかにしている。監督によれば、バリヤードの映像化に費やされた期間は約2年。映画の原案となったゲーム『名探偵ピカチュウ』の脚本を読み、デヴィッド・フィンチャー監督作品『セブン』(1995)の取り調べシーンからアイデアを着想したという。

「古典的なフィルム・ノワールの取り調べシーンを、バリヤードでやったら面白いぞと思ったんです」。最初、ロブ監督は『セブン』のケビン・スペイシー出演シーンに上からバリヤードを描いて、株式会社ポケモンにアイデアを提案。プレゼンを受けた株式会社ポケモン側は、当初「気持ち悪いものが出来上がってしまう」としてバリヤードの登場を渋ったという。無理もない。

そんな中、監督に救いの手を差し伸べたのは、同社代表取締役社長の石原恒和氏だったそう。ロブ監督は「丸ごと提案したら、笑いながら“挑戦してみてください”と言ってもらえたんです」と振り返っている。

バリヤード、実際のパントマイム芸人が監修していた

いざ映画に登場させられるとなれば、どうやってバリヤードのパントマイムを映像化するかが問題だ。『名探偵ピカチュウ』で、バリヤードは言葉の代わりに身体ですべてを表現するのである。言葉と身体表現の応酬でシーンが展開する以上、バリヤードのアニメーションにも高いクオリティと説得力が求められることは言うまでもなかった。

参考になる映像をインターネットで探している最中、ロブ監督が偶然に知ったのが、ニュージーランドのパントマイム芸人/フィジカル・コメディアンであるトリグビー・ウェイクンショウだった。そのパフォーマンスを見た監督は、プラハにいたトリグビー氏をイギリス・ロンドンに招き、リハーサルを通じて「身体のジョークを教わった」とのこと。ここでひとまず、トリグビー氏による実際のパントマイム芸をご覧いただきたい。

トリグビーによるジョークのアイデアを受け、バリヤードの取り調べシーンは脚本が執筆された。その後、名探偵ピカチュウの声とモーションキャプチャーを担当したライアン・レイノルズ、ティム役のジャスティス・スミス、そしてトリグビーの3人でリハーサルが行われている。

監督によれば、3人がリハーサルを重ねる中で、取り調べシーンそのものはどんどん面白くなっていったという。ライアンのセリフにあわせ、ジャスティスとトリグビーが即興でパントマイムを繰り出すことで、シーンの内容が固まり、強度が増していったのである。リハーサルではトリグビーがパントマイムを実際に演じており、「クレイジーなパフォーマンスだった」という演技の数々は、バリヤードの動きを表現する材料としてアニメーターの元に送られた。

ところがジャスティスは、リハーサルや撮影を振り返って「すごく楽しかったんですが、撮影時には“このシーンはカットされるだろうな”と思ってました」と振り返っている。なぜなら、ピカチュウとバリヤードが撮影現場でジャスティスと実際に共演することはなかったからだ。3人の俳優が作った取り調べシーンは、事実上、ジャスティスの一人芝居として撮影されたのである

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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