自分ならどうする?「プルリブス」はユートピアか、ディストピアか ─ 主演「日によって見方が違う」

この記事には、「プルリブス」シーズン1第1話『我々とは私たち』&第2話『女海賊』のネタバレが含まれています。

「プルリブス」シーズン1第1話では、宇宙の信号により世界中の人間に異変が発生。人々の心は一つとなり、一人称は「我々」へと変化する。免疫を持つキャロル(シーホーン)は感染を免れたものの、妻のヘレン(ミリアム・ショア)はこの“至福の共存状態”に陥ったのち命を落としてしまう。
免疫を持つ者は、全世界でたった13人。第2話では、そのうち英語を話せる5人とキャロルの面会が設定される。キャロルは世界を救うため協力を求めるが、メンバーの一人・クンバは「なぜ救う必要がある?」と返す。犯罪・差別が消え、環境汚染が止まり、平和が訪れた新世界を、彼はユートピア(理想郷)だと考えているのだ。さらに他の者たちも、集合意識への同化を望んでいることがわかる。
果たしてこの世界は“ユートピア”か、“ディストピア”か。自分がキャロルならどうするか――。本作は、視聴者にも考えを促す作品だ。THE RIVERでは、主演のレイ・シーホーンにこの問いを投げかけると、シーホーンは「良い質問ですね」と応じ、次のように語ってくれた。
「日によって、状況によって、私は全く違う見方をしていたと思います。まさにそれこそが、ヴィンスがこの作品で提起したかった問いなんです。彼は、視聴者の間であらゆる会話や難しい議論を生むような作品になってほしいと願っている。私も同じです。例えば、“幸福や満足の定義ってよく分からないかも”とか、“個人とは何だろう?”とか、そういった疑問に気づけるでしょう。」
シーホーンは自身について「私は“全体にとって最善のこと”を考える人間です」としたうえで、「それでも、私たちはみな“個人の追求”や“自分が考える幸せ”を完全に捨て去ることはできません」と指摘。だからこそ「自分だったらどうするか?」への答えはまだ出ていないという。
「だから本当に難しい問いなんです。私は答えを避けているわけではなく、この作品で提示されたテーマに、今も向き合っている最中なのです。私にとっては、それが一番エキサイティングな部分でもあります。」
視聴者はまずキャロルの視点で物語に入るため、この世界を“ディストピア”として受け取るかもしれない。しかし物語が進み、他のキャラクターの主張に触れるにつれ、別の解釈も見えてくる。見る角度によって姿を変える世界観は、本作「プルリブス」の大きな見どころといえるだろう。
「プルリブス」はApple TVで配信中。毎週金曜日に新エピソード更新。

























