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実在の安楽死団体施設で撮影『両親が決めたこと』ふたりで最期を選んだ夫婦を描く ─ 「悲劇ではなくポジティブな解決策」と監督

両親が決めたこと
© 2024.LASTOR MEDIA, KINO PRODUZIONI,ALINA FILM ALL RIGHTS RESERVED.

“夫婦ふたりで最期を選ぶ”──ヨーロッパで急増している“デュオ安楽死”を描き、実在する安楽死団体の施設で撮影を敢行した映画『両親が決めたこと』が、2026年2月6日(金)より全国順次公開される。

バルセロナに暮らす80歳の舞台女優クラウディアは末期がんの罹患者。がんが脳に転移し、錯乱や半身麻痺、自我の喪失が近づくなか、彼女は安楽死を選択した。子育てよりも舞台を優先しながら生きてきた妻を支え、今なお愛してやまない夫フラビオが、“デュオ安楽死”でともに旅立つことを決意する。

ふたりはデュオ安楽死ができるスイスへ行くことを決めるが、子どもたちは戸惑い、反発する。同居する末娘のヴィオレッタは、両親の結婚記念パーティーを企画し、実家に寄りつかない長男長女を招くが、ヴィオレッタは両親のデュオ安楽死パーティーを思わず打ち明けてしまい……。

両親が決めたこと
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本作はトロント国際映画祭で作品賞を受賞。監督のカルロス・マルセットは、準備段階からスイスの安楽死支援団体「Exit」「Dignitas」への綿密な取材を実施し、クライマックスでは実在する施設と本物のベッドを撮影に使用。施設のスタッフ役には、実際に働いているスタッフを起用した。

「そこは決して恐ろしい場所ではありませんでした。苦しみから解放され、愛する人に別れを告げるための、愛に満ちた平和な空間だったのです。安楽死を行う施設のスタッフ役の一部は、実際に施設で働く本物のスタッフたち。彼女たちは出演を自ら希望してくれました。自分たちの仕事に誇りを持っている、その思いが自然と表れていました。リアリティは演出ではなく、現場に存在していたのです。」

デュオ安楽死が広がる現状を、監督は「かつてのタブーが解かれ、ひとつの選択肢として認識されるようになったから」と語る。「悲劇ではなく、愛する人と共に“良い終わり”を迎えるためのポジティブな解決策として捉える人が増えています。特に子供のいない夫婦にとって、“なぜ自分だけがこの世界に残らなければならないのか”という問いに対し、愛と連帯こそが生きる理由だと考える人々には非常に納得のいく選択なのです」。

両親が決めたこと
© 2024.LASTOR MEDIA, KINO PRODUZIONI,ALINA FILM ALL RIGHTS RESERVED.

背景にあるのは、「どう生き、どう愛し、どう別れるか」という生の価値観だ。「この映画に登場する夫婦は、自分たちの“愛の絆”を何よりも優先しています。現代の欧州において、デュオ安楽死は家族に隠れて行う悲劇ではなく、徹底的な対話を通じて家族全員が納得した上で行われる、“平和的な別れの儀式”としての側面が強まっていると思います」。

家族のユーモアあふれるセリフ回しや、家族の心情を母の職業だったミュージカル調で表現した本作には、死を語りながら、なぜか温かさとおかしみがある。最後まで自分らしく生きた母親の終末期を通して、急激に増えているデュオ安楽死に対するひとつの答えを描き出す一本だ。

映画『両親が決めたこと』は、2026年2月6日(金)より全国順次公開。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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