ポール・トーマス・アンダーソン監督『Licorice Pizza』、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で作品賞・監督賞に輝く─ 新人ふたりは演技賞を受賞

『パンチドランク・ラブ』(2002)『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)『ザ・マスター』(2010)で世界三大国際映画祭・監督賞を制した若き巨匠、ポール・トーマス・アンダーソン。この度、『ファントム・スレッド』(2017)以来となる待望の監督最新作『Licorice Pizza(原題)』が、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞・作品賞に輝いた。
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞とは、アカデミー賞の前哨戦のひとつとして毎年注目を集めているもので、錚々たる作品が並ぶ中で今年の栄冠に輝いたのが、ポール・トーマス・アンダーソン監督による甘酸っぱくも危険な初恋を描く青春映画だったというわけだ。1973年、アメリカ・ロサンゼルスのサンフェルナンド・バレーを舞台に、ゲイリー・ヴァレンタインとアラナ・ケインがサンフェルナンド・バレーで成長し、走り回り、恋に落ちる姿が捉えられていく本作で、アンダーソンは監督賞にも輝いている。
メインキャラクターのひとりであるゲイリー役を演じたのは、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子で、本作が長編映画への初出演となるクーパー・ホフマン。「ハイム」のメンバーのアラナ・ハイムがアラナ・ケイン役を演じており、同じく本作が長編映画初出演となった。新人ふたりの演技には批評家だけでなく、アンダーソン監督の常連者で本作にも出演しているという俳優、ジョン・C・ライリーをも唸らせていた。
アラナとクーパーの演技には、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞でも高く評価されようで、ブレイクスルー演技賞にふたり揃っての受賞を果たした。アカデミー賞への期待もかかる本作は、2021年11月26日より一部劇場で米国公開中で、12月25日から米国で拡大公開される。日本での公開にも期待したいところだ。
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞・主要部門の結果一覧
- 作品賞:『Licorice Pizza(原題)』
- 監督賞:『Licorice Pizza(原題)』ポール・トーマス・アンダーソン
- 主演男優賞:『ドリームプラン』ウィル・スミス
- 主演女優賞:『ウエスト・サイド・ストーリー』レイチェル・ゼグラー
- 助演男優賞:『Belfast(原題)』キアラン・ハインズ
- 助演女優賞:『ドリームプラン』アーンジャニュー・エリス
- 脚本賞:『A HERO(英題)』アスガー・ファルハディ
- 脚色賞:『マクベス』ジョエル・コーエン
- ブレイクスルー演技賞:『Licorice Pizza』アラナ・ハイム&クーパー・ホフマン
- 新人監督賞:『Pig(原題)』マイケル・サルノスキ
- アニメーション映画賞:『ミラベルと魔法だらけの家』
- 外国語映画賞:『A HERO(英題)』
- ドキュメンタリー映画賞:『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
- アンサンブル演技賞:『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』
- アウトスタンディング・アチーブメント・イン・シネマトグラフィ:『マクベス』ブリュノ・デルボネル
Source: The Playlist