ロバート・ダウニー・Jr.、AIによる自身の再現を拒否 ─ たとえ死後でも「スタジオ幹部を訴える」

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のアイアンマン役や、『オッペンハイマー』(2023)などの名優ロバート・ダウニー・Jr.が、自分の姿や声をAIで再現することを完全に拒否する意志を明かした。たとえ自身の死後であっても、スタジオの幹部に対して訴訟を起こすという。
ポッドキャスト「On With Kara Swisher」に登場したダウニー・Jr.は、将来的に自分自身がAI技術によってデジタル再現される可能性を問われると、「ふたつの考え方があります」と答えた。「現状に対して僕自身が感じていることは最小限です。実生活のなかで感じることがたくさんあるので、(AI技術について)なにかを感じるほどの余裕があまりなくて」。
もっとも、アイアンマン/トニー・スターク役を長らく演じてきたMCUを統括するマーベル・スタジオはディズニーの傘下だ。同じく傘下のルーカスフィルムは『スター・ウォーズ』シリーズで亡き名優のデジタル再現をいち早く試みてきたが、ダウニー・Jr.はマーベルに全幅の信頼を寄せている。
「MCUに関して言えば、自分のキャラクターの魂が乗っ取られる心配はしていません。(マーベル・スタジオには)3~4人の幹部がいて、彼らがあらゆる決断を下しているわけですが、僕に対してそういうことは絶対にしないでしょうから。そこに僕がいようと、いなかろうと。」
しかし、いずれスタジオの幹部は交代し、その後はどうなるかわからない──。そう指摘されると、ダウニー・Jr.は「その通りです。だから僕はここで、(そんなことをしたら)将来の幹部を誰も訴えるつもりだと表明したい」と反応。「あなたも死ぬわけですが……」との言葉には、「それでも法律事務所は現役でしょう」と応じている。
映画スタジオのAI利用は、2023年におこなわれた全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキにおいて大きな争点のひとつだった。ストライキ終結にあたり、SAG-AFTRAは、デジタル再現をおこなう際は、あらかじめ俳優の合意を得ることをスタジオに義務づけている。米ABCが同組合に取材したところ、俳優がデジタル再現を拒否する権利は法律で保障されているそうだ。
「情報時代の新たな局面と、過剰に一体化している人をうらやむことはありません」とダウニー・Jr.は言う。「たとえ巨大なスタートアップ企業を所有していても、それ(技術)が自分のものだと考えるのは間違いです。自分たちが技術管理の権威だと信じながら、好意的に見られたい、見られなければならないと考えているのなら大問題ですよね。僕は不快に思うし、関わりたくない。なぜなら、本当のことを言っていないから。」
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Source: On With Kara Swisher (via Variety), ABC