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『アベンジャーズ/エンドゲーム』アイアンマン役ロバート・ダウニー・Jr.、ディズニーのアカデミー賞プッシュを辞退していた

アベンジャーズ/エンドゲーム
ⒸMarvel Studios 2019

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)などでトニー・スターク/アイアンマン役を演じてきたロバート・ダウニー・Jr.が、ウォルト・ディズニー/マーベル・スタジオによるアカデミー賞に向けての取り組みを辞退していたことがわかった。米国のラジオ番組「ザ・ハワード・スターン・ショー」にてロバート自身が語った。

2019年10月上旬、ディズニーは今年度のアカデミー賞をはじめとする映画賞レースに向けて、業界関係者に投票の検討を求める特設ページ「FOR YOUR CONSIDERATION」を開設。しかし開設当初、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の候補者リストには、プロデューサーであるマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長やアンソニー&ジョー・ルッソ監督の名前があったにもかかわらず、主演俳優であるロバートは掲載されていなかった(10月9日現在、候補者リストそのものが削除されている)。

今回、番組の司会者であるハワード・スターンは、マーベル・シネマティック・ユニバース作品におけるロバートの演技を絶賛。巨匠マーティン・スコセッシがマーベル映画を「映画ではない」と発言したことを絡めながら、アイアンマン役でロバートがアカデミー賞へのノミネートを受けていないことについて、投票者たちが「スーパーヒーロー映画を下に見ているからでしょう」と述べた。しかし、ロバートによると、賞レースへの参戦は自らが望まなかったものだという。

「こうやって話題にしてもらえるのはすごく嬉しいですよ。そういう(アカデミー賞についての)お話はありましたからね。だけど、それは僕が“やめましょう”と言ったんです。なぜなら僕は、きっとあなた以上にそのことを思っているから。あなたの意見にはほとんど全て賛成ですよ。時には“それは僕の考え方とは違うな”と思うこともありますけど、あなたがそういう見方をすることはとても良いと思います。」

ここでロバートは、自らがオスカーのキャンペーンを辞退する意向を示したこと以外、その理由も含めて多くは語っていない。アカデミー賞の投票権を持つ人々への批判を展開する勢いのハワードを抑えつつ、誰も攻撃しないよう、誰も傷つけないようにロバートが言葉を選んでいることがうかがえるだろう。なお、ロバートは「(マーベル映画に)出ること自体がご褒美です。今がアカデミー賞にふさわしいタイミングなのか、僕がふさわしい男なのかは分かりません」とも述べたという。

過去、ロバートは『チャーリー』(1992)と『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』(2008)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。なお『アベンジャーズ/エンドゲーム』や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)のジョー・ルッソ監督は、アイアンマン役を通じて映画界にもたらしてきた意義の大きさから、ロバートを「過去40年間の誰よりもオスカーにふさわしい人物」だと述べ、オスカー像の授与を熱望。『アイアンマン』(2008)を手がけ、ハッピー・ホーガン役として共演してきたジョン・ファヴローも「僕の一票は彼に」と映画賞という場での評価を求めた。

秋が深まる中、いよいよ賞レースは本格化していくことになるが、果たしてロバート・ダウニー・Jr.は10年以上の功績に対してしかるべき評価を受けられるのか。かつてない取り組みをどのように認めるのか(あるいは認めないのか)、業界の態度にも注目しながら追いかけてみたい。

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Sources: The Howard Stern Show, Howard Stern, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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