人間の創生を見ているような感覚…映画『レッドタートル ある島の物語』で得た、想いを巡らせる有意義な81分【レビュー】

映画『レッドタートル ある島の物語』評価・感想

スタジオジブリの鈴木敏夫 高畑勲が参加。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞したデュドク・ドゥ・ヴィットの初長編監督作。
大嵐の海原を生き延び、無人島へと辿り着いた男。
知恵を絞り 島からの脱出を試みるが、見えざる力によって阻まれてしまう。
人間とは 自然とは 生きるとは何なのか
明確な答えなど得られはしないが、誰しもが追い求めずにはいられないモノを描いた作品だ。

時代背景が分からない
基本的にセリフもない
扱うテーマに答えはない

何を想い どう感じるのか
そのすべては観客へと委ねられる
行き着く先も人それぞれに異なるだろう。

無人島に辿り着いた男
彼は何にも抗えない
無人島において、彼は無力だ。

動物をはじめとしたあらゆる生物達
皆自然に適応するための能力を何かしらその身に宿している。

男には 人間には何もない
道具を扱うことでしか付加価値を得られない。
それこそが人間の特性なのかもしれないが、無人島においては道具となる物が枯渇している。

人間は最も下層に位置する存在であった。

男の姿から「自然」には抗えないことを
生かされているのだということを再認識させられた。

便利な世の中故 実感を得難いが、人はひとりでは生きていけないということも身に沁みた。
人間は力を合わせてこそ その真価を発揮できる。
誰かを想ってこそ力を発揮できる。

たったひとりの男には限界のあることばかりであった。

自然とは何だろう。
木々 ありのままの生態系 地球そのもの
その定義は様々であるが、時に人は自然を「神」と呼び敬う。
敬うくせに、自然を破壊し 人間の住みやすい環境に変化させることを優先している。

地震 津波 台風などの災害は、神から人間への罰なのだろうか
人間が作り変えたモノを元に戻すための措置なのだろうか
立場を弁えない人間に対する抑止力なのだろうか

答えは得られない
世界の真理が解き明かされない限り、謎のままだ。

つまり、永遠に謎である。

神などいない
何にでも理由を求めたがる人間が勝手に意味を持たせただけのこと。

自然は多くの恵みを与えてくれもするが、多くのモノも奪っていく
そこに意志などない
意志があるのなら、大事な人を奪っていくその行為を許すことなど到底できない。
FUCK YOU!クソ喰らえだ。

只そういう仕組み システムなだけ
そんな理不尽が伴う環境に、人間が勝手に住み着いてしまっただけの話。

そんな風にも考えられるが、これまた答えは得られない。

そんなことばかり考えながらスクリーンを眺めていた。

劇中で起きたファンタジー
まるでアダムとイブを 人間の創生を見ているような感覚であった。

それは人間の可能性を示していたのかもしれない。
また、人間が生きていく上での理を指していたのかもしれない。

喜びを得たのなら、それは同時に 失う哀しみも得たことを指す。
過ちを犯したのなら、それは同時に 正しい道を歩む術を知ったことを指す。

出逢いがあれば別れもある
光があれば影がある
生まれたのならばいずれ死を迎える

決まった理の中でしか人間は生きられない

その理の中で如何にして生きていくのか
何を大切にして生きていくのか

この世界・人生において、何が正解なのかは分からない。
目先の想いに囚われることなく、本当に大切なモノが何であるのかを見定める眼が必要なのかもしれない。

有意義な81分を
想いを巡らせる時間を過ごせた気がします。

感じること 得られる想いは人それぞれに異なるはず。
ぜひ劇場であなたなりの あなただけの感じ方をしてきてください。

【解説レビュー】自然と生きた原始の記憶を辿る『レッドタートル ある島の物語』

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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