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フィギュアりくりゅう、映画『グラディエーター』で金メダル ─ 「土に触れる」イメージから生まれたハンス・ジマー名曲

Richard Ellis/UPI/Newscom/Zeta Image

2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪の第11日フィギュアスケート ペア・フリーでは、三浦璃来&木原龍一による「りくりゅう」ペアが、映画『グラディエーター』の曲で世界歴代最高点を叩き出し、大逆転で金メダルを獲得した。

「りくりゅう」は今季五輪シーズンより新フリー曲として『グラディエーター』を採用。『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(2024)から「Strength And Honor」、『グラディエーター』(2000)から「Nelle Tue Mani (Now We Are Free) 」の2曲のメドレー方式となっている。

前半曲「Strength And Honor」は『グラディエーター』1作目にて、ラッセル・クロウが演じた主人公マキシマスの放つ格言「力と名誉」を表した一曲だ。名匠ハンス・ジマーが作曲したが、「りくりゅう」コンビが採用したのは2024年の続編で、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズがその魂とタイトルを継承した楽曲。より壮大で、希望を感じさせるアレンジとなっている。

後半曲「Nelle Tue Mani (Now We Are Free)」はハンス・ジマー作曲による金字塔的な一曲。映画『グラディエーター』のラストで、壮絶な戦いを終えた主人公の“帰郷”と魂の解放が描かれる場面で叙情的に流れる。数々の名映画曲で知られるジマーのキャリアを象徴する一曲だ。

映画では女性ボーカルのリサ・ジェラルドが造語で歌ったが、「りくりゅう」コンビが使用したのは、イタリアが誇る盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリによる、イタリア歌詞をつけたバージョン。ボチェッリはこのミラノ・コルティナオリンピック開会式で「誰も寝てはならぬ」を披露したという繋がりもある。

「Nelle Tue Mani」は「あなたの手の中に」の意で、戦いを終えた魂の平安が表現されている。

映画の中で主人公マキシマスは、戦場で土を掴んで匂いを嗅ぐ場面がある。「彼は農夫だから、という設定もある。でも同時に、それは“今日ここで死ぬかもしれない”という意識でもある。もし死ぬなら、ここに埋められる。だから、この土地はどんな匂いなのか確かめる」と、映画の監督リドリー・スコットは過去のインタビューで語っている。

ジマーは作曲の際、映画の中でマキシマスがするようにに土の塊を手に取り、「彼は将軍でも剣闘士でもない。農夫なんだ」と気付いたと、同じインタビューで語っている。これは“大地”の物語だ、と。

この“土に触れる”イメージから生まれた小さな旋律を、ジマーは“The Earth Theme(アース・テーマ)” と呼んだ。「何度も姿を変え、最終的には愛のテーマにもなる。つまりそれは、大地のテーマであり、この人物そのもののテーマなんです」とジマー。この旋律こそが、最終的に「Nelle Tue Mani (Now We Are Free)」へと変遷していく。

「Nelle Tue Mani (Now We Are Free)」のラストでは「あきらめないで」との歌詞が流れる。「りくりゅう」ペアは自身らの覚悟をこの楽曲に重ねた。

映画『グラディエーター』で主人公マキシマスは将軍の立場から奴隷の身分に落とされ、魂の自由を求めて土の上で戦った。その楽曲が紡いだ精神は、苦難に見舞われ、ショートプログラム5位の絶望から世界歴代最高点で金メダルに輝いた「りくりゅう」の、誇り高き氷上の戦いに受け継がれることとなった。

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Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者、運営代表。執筆・編集から企画制作・取材・出演まで。数多くのハリウッドスターに直接インタビューを行なっています。お問い合わせは nakataniアットriverch.jp まで。

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