『デッドプール』の次はコレ!超B級「っぽい」映画『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』のススメ
日本公開より約1ヶ月が過ぎ、まだまだ大ヒット上映中の『デッドプール』。

その主役であるデッドプールを演じているのが、ライアン・レイノルズです。

日本での一般的な知名度はまだまだといったところですが、これはあくまでも日本での話。
アメリカではすでに、セクシーなイケメン肉体派俳優として評価されています。
そんな彼ですが、実はマーベルコミックの『デッドプール』以外にも、コミックを原作とした映画作品に挑戦していること、知っていましたか?
ひとつはDCコミック原作の『グリーンランタン』。

グリーンランタンといえば、緑色のヒーローですよね。(雑)
そしてもうひとつが、ダークホースコミックを原作とする『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』です!

……実は言いにくい話なんですが、今挙げたふたつの作品は、ハリウッド映画史に残る大赤字映画の上位に挙がってしまうんです。
でもだからって、赤字映画はおもしろくない、なんてことはない!
ということで、今回はこの『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』をオススメしたいと思います。
胸を張ってオススメする超B級“っぽい”映画
『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』は、死んだ主人公が、天国行きの前にあの世の警察にスカウトされ、悪霊たちを捕まえるドタバタ・バディ・アクション・ムービーです。
はい、こうして聞くと、設定もストーリーもベタなことこのうえなし、ですね。
確かに全体を通して、一昔前のアメリカン・コメディみたいなベッタベタさは否定しません。
でも、だからといって観ない選択肢を取るのは、とってももったいない!
なぜって、この作品は約1億3000万ドルもの製作費をかけた、壮大なる超B級“っぽい”映画だからです。
……いやいや、1億3000万ドルを使っておいてB級映画なんて、矛盾しているのは分かります。
つまり言いたいのは、テイストがそれっぽいということ。
そんな“っぽさ”にお金をかけているだけあって、B級映画の当たりくじを引いたような感覚で、気楽に楽しむことができる作品というわけなんです。(褒めてます)
ちなみに、興味本位で調べてみました。
『デッドプール』の製作費は約5,800万ドル。
『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』の興行収入は約2,400万ドル。
つまり、デップーよりも高い製作費で、デップーの製作費よりも(以下自粛)
Oh……これは、見なかったことにしましょう。
ベタな笑いでも センスよく使うとおもしろい
大体が予想通りの展開なので、あまり目新しさはないですが、思い切ったテンポのよさと演出の妙のおかげか、ベタさもスベリ知らず。
勢いと流れに乗って、ついニヤリとさせられる、そんな上手さを感じます。
例えば、なるほどこうきたか!と思わせてくれたのが、ふたりの現世での姿。
R.I.P.D.とは、現世に残った悪霊たちを捕まえる、言わばゴースト警察のことですが、そのボストン分署で働くことになったニックは、生前は19世紀の保安官だったロイを相棒に、現世に戻って悪霊退治をすることになります。

ニックたちの姿は生者から見えるようになっていて、するともちろん、生前の姿のままだと色々と不都合が出ますよね。
ということで、現世では元の姿とは全くの別人に見えるようになっているのです。
それがこちら。

ニックは中国系のおっさんで、ロイはなんとナイスバディのイケイケなお姉ちゃん。
姿が違って見える、というのは使い古されたネタ感満載ですが、実際に映像として表現されると、やっぱり笑っちゃいます。
しかも、基本は元の姿の2人で進む物語の合間合間に、現世ではこう見えているんだよという、おっさん美女コンビのシーンが出張りすぎない程度に挟まってきて、そのタイミングがまた絶妙!
しっかりと計算された演出が、うまく笑いを誘います。
さらに、ちらっとしか映りませんが、細かいところまで気が利いているのも見事。
実はこの見た目が変わるネタ、原作からではなく、映画化の際に後付けされたアイデアとのこと。
作品のテイストとつじつまをうまく合わせているところが、なんとも上手ですね。
このほかにも、19世紀の保安官だったロイの早撃ちシーンが西部劇調になったり、現世とあの世を繋ぐ場所がビデオ修理店だったり(要するに、今どきビデオなんて誰も修理しない=客が来ないのでばれない)、つい笑ってしまうようなネタがたくさん出てきます。
ひとつひとつは小さな笑いでも、総合的におもしろさを感じられる出来に仕上がっているのが、この作品をオススメする理由の一つです。
分かりやすいアクションと見映えのするCG・VFX
この作品の監督は『RED』のロベルト・シュヴェンケ。
なるほど、アクションシーンは見栄えのする派手さと分かりやすさ、目線をしっかりと誘導するようなカメラワークが、うーん、単純に観やすい!
かつ、コミックをパラパラと読み進めているかのようなスピード感が、いい意味で作品全体を軽くしています。
それによって、冒頭10分で早くも主人公が天に召されるシーンですら重くなり過ぎず、流れを止めることなくスピーディーに話を進めることを可能にしています。
この思い切りの良さが、気が付くといつの間にか物語に入り込めている理由ではないでしょうか。
若干、強引な気もしますが、細けぇこたぁ気にすんなよ精神で、ごりごり視聴者を引っ張っていってくれる、それがこの作品の魅力です。
それから、やはり触れておきたいのが、恐らくここにたくさんの製作費を費やしたのであろう、CGやVFXについて。
あの世へのトンネル、人の振りをしている悪霊たちが本来の姿に戻る描写、“成仏弾“を撃ち込まれた霊たちが消える際の黒いモヤ、クライマックスの現世で暴れまくる悪霊たちとの戦いなど、あらゆるところで惜しみなく技術が駆使されています。

また、悪霊たちのディティールには特殊メイクも使われているでしょうが、リアルを狙いすぎていない質感がとってもイイんです!
全体的におもっちゃっぽく、まさにコミックから抜け出してきたかのような雰囲気があって、そのチープさが逆にうまく世界観とマッチしています。
キャストにも注目
ライアン・レイノルズをはじめ、出演者もなかなかに豪華だったりします。
ロイ役には『クレイジー・ハート』でアカデミー主演男優賞を手にしたこともある、ジェフ・ブリッジス。
彼はこの作品の前に『トゥルー・グリッド』があるのですが、そちらでも西部開拓時代の保安官を演じていたので、今回のキャラクターとの対比がおもしろいですね。

名脇役と言ったら、このひとの右に出るものはいません。
『フットルース』『フォロイング』のケヴィン・ベーコン。
彼のTVドラマ初主演作『フォロイング』は超シリアスなクライムサスペンスですが、こちらもオススメの衝撃作です。

そのほか、海外ドラマ好きにはおなじみ、『プリズン・ブレイク』のロバート・ネッパー、『RED』『REDリターンズ』のメアリー=ルイーズ・パーカーも出演しています。
実はしっかりと作りこまれている快作
いかがでしたでしょうか?
一見はB級っぽくとも、注意深くみてみれば、こだわりと計算をもって作られた、渾身のアメコミ実写映画だということがお分かりになったかと思います。
とはいえ、そこまで真面目に腰を据えて観る必要はありません。
『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』、それは楽しめてナンボのエンタテインメント作品です!
ただ、くだらない、と投げ捨てるにはもったいない快作!
惜しむらくは、興行的には大失敗な作品なので、続編が観られないということ。
このまま埋もれるにはもったいない作品ですので、ぜひぜひこの機会に鑑賞してみてはいかがでしょうか?
みなさんの感想・評価、お待ちしています!
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