【デッドプール】ライアン・レイノルズ 『イケメンだけど演技下手』説を検証

レイノルズ本人の驚愕のセリフ!

「ベッカムは声が変だけどイケメンだから大人気だ。ライアン・レイノルズも演技はヘタだけどイケメンだから大人気だ」

マーベル映画『デッドプール』の主人公、ウェイド(デッドプール)のセリフである。もちろん、ウェイドを演じているのはレイノルズ本人。こんな毒のあるメタ表現を引き受けてしまうところに、レイノルズがよほど『デッドプール』に思い入れがあったのだろうことが見え隠れする。(そもそも原作からして、デッドプールはライアン・レイノルズ似を公言していた!)

だが、しかし。本当にレイノルズは演技がヘタな俳優なのか?ここではその真偽を問うてみたい。

【デッドプール】ライアン・レイノルズ 『イケメンだけど演技下手』説を検証

セクシーな肉体派という呪縛

ライアン・レイノルズの肉体

http://munfitnessblog.com/how-to-build-body-like-ryan-reynolds/

レイノルズが演技派と呼ばれない理由は、その男らしいルックスの裏返しでもある。アメリカでは『セクシーな男』の代名詞で、その手のアンケートでは上位グループの常連。実際、顔だけでなく引き締まった筋肉も惚れ惚れするほどの美しさなので、人気は当然なのだが、昔から「ガタイのいい俳優は演技ができない」というジンクスがある。

オーストリア出身のアーノルド・シュワルツェネッガーは、英語の発音に問題があったため、『ターミネーター』(’84)、はもちろん、『コマンドー』(’85)などの代表作ではセリフが少なかったと言われている。しかし、コメディに挑戦した『ジングル・オール・ザ・ウェイ』(‘96)の痛々しさを見れば、発音だけの問題ではなかったのだろうと推測できる。

シルヴェスター・スタローンは『コップランド』(‘97)で演技派への転進を図ったが、映画はコけ、自身の演技も酷評された。

ジャン=クロード・ヴァン・ダムにドルフ・ラングレン、そのほかの80~90年代の肉体派スターにも、シリアスドラマの代表作が思い浮かばない。そして、『ブレイド3』(‘04)や『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(‘09)といったアクション大作で筋肉を見せつけていたレイノルズも、この系譜に入れられてしまったとしても仕方がないだろう。

大作以外で見せる演技派の顔

しかし、レイノルズ、大作以外では渋い演技を見せているのである。例えば日本未公開『アドベンチャーランドへようこそ』(‘09)。童貞の主人公が恋するヒロイン、エマ(クリスティン・ステュワート)の不倫相手を演じているレイノルズは、青臭い主人公に対し、大人のかっこよさとやさぐれ感を共存させていて強烈なコントラストを描いている。

「アドベンチャーランドへようこそ」より

「アドベンチャーランドへようこそ」より
http://blog.goo.ne.jp/madelaine_green/m/201004/2

 

『[リミット]』(‘10)では謎の狭い箱に閉じ込められたアメリカ軍兵士を演じ、上映時間のほとんどを一人芝居でもたせてみせた。

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『リミット』より
http://www.cinemacafe.net/article/2010/09/16/9076.html

 

肉体派俳優が躓きがちなコメディ路線も『あなたは私の婿になる』(’09)でクリアー。サンドラ・ブロックの相手役を堂々とした受けの芝居で演じきった。

『あなたは私の婿になる」より

『あなたは私の婿になる」より
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/22364/

 

演技派ライアン・レイノルズの誕生とでもいうべき一作がカナダの巨匠、アトム・エゴヤンの『白い沈黙』(’14)である。幼い娘を何者かにさらわれて以来、人生を狂わされて8年もの間、苦悩し続ける父親を熱演。無精ひげをたくわえて、二枚目スターの看板を下ろし、深い悲しみと怒りを表現しきった。

特に見てほしいのは、後半に訪れる娘との再会のシーンだ。娘と8年ぶりに再会したときの感動、そしてすぐに聞かされる絶望・・・並の俳優では見せることのできない胸を打つ表情がそこにはあった。

『白い沈黙』より

『白い沈黙』よりhttps://www.pastemagazine.com/articles/2014/12/the-captive.html

 

このように、ライアン・レイノルズ=大根役者というのは、あくまでも本人の口から言わせる面白さを狙ったギャグだととらえておきたい。また、いまだにレイノルズをただの肉体派俳優だと思っている人があなたの周りにいるのなら、すぐにここで挙げた作品をおすすめしてほしい。

About the author

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。

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