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『ローグ・ワン』リズ・アーメッド、空港で止められ「スター・ウォーズ・セレブレーション」出席できず ─ 「ムスリムでいることが本当に怖い時代です」

リズ・アーメッド
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/42774741015/ Remixed by THE RIVER

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)でボーディー・ルック役を演じたリズ・アーメッドは、2019年4月、イベント「スター・ウォーズ・セレブレーション」への出演を急遽キャンセルしていた。このたび、米国における多様性の確保やマイノリティの扱いについて語り合うカンファレンス・イベント「CAA’s Amplify Conference」に登場したリズは、欠席の理由が「空港で飛行機への搭乗を止められたため」だったことを明かしている。

リズは2019年のスター・ウォーズ・セレブレーションに2017年に続き2度目の参加となる予定だったが、4月12日(米国時間)、主催者側がリズの出演キャンセルを発表。理由は「やむにやまれぬ事情のため」と伝えられていた。

The Hollywood Reporterによれば、リズがスター・ウォーズ・セレブレーションを欠席したのは、空港にて国土安全保障省による制止を受け、飛行機への搭乗を止められたためだったとのこと。リズは過去15年にわたり、自身の民族ゆえに空港で制止や検査、尋問を受けてきたというのだ。イベントの中で、リズはこのように述べている。

「(イベント司会者の)ハサン・ミナジはピーボディ賞(放送作品賞)を獲れるし、僕はエミー賞を受賞できるし、イブティハージ・ムハンマド(女性フェンシング選手)はオリンピックに出られる。けれども、あらゆる障害は(社会)全体に染みわたっていて、そういうものに一人で立ち向かうことはできません。みなさんの助けが必要なんです。みなさんに助けを求めるため、ここに来ました。」

リズは「ムスリムでいることが本当に怖い時代です。ものすごく怖い」とも話している。「もしも今年、僕たちがひとまとめにされたり、トランプの(移民、イスラム教徒の)登録法が実行されたりしたら、みんな(アメリカから)追い出されることになります」

映画・ドラマ業界で働く人々や、世界中に広がる観客のため、ハリウッドが民族・人種の多様性確保に動くなか、いまだ米国には解消されない問題が残っている。それどころか、ドナルド・トランプ大統領の政権下ではマイノリティにとっての新たなハードルすら生まれようとしているのが実状だ。解放へと向かう業界と、ともすればそれに逆行しかねないような社会状況の中で、厳しい環境に置かれるのは常にマイノリティの本人たち。俳優・ラッパーとして活動し、いわば最前線を走るリズでさえ、飛行機に乗れずにイベントへの出席をキャンセルせざるを得なくなるのだ。空港の警備員が、リズを検査しながらセルフィーを求めてくることもあるという。

ただし留意しておきたいのは、これは「リズがイベントに出席できなかった話」ではないということだ。リズ本人も述べたように、これはあくまで「全体に染みわたって」いる問題についての話なのである。リズのように公にメッセージを発信する機会をもたない人々の一人一人にまで、こうした問題の影響は今も生まれつづけている。

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Sources: THR, Variety, IW

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。