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【ネタバレ】『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』衝撃のキャラクターたちとその製作秘話

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

映画『スター・ウォーズ』シリーズ初のアナザー・ストーリー(スピンオフ)となったローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016)には、シリーズを追いかけてきたファンにとっては驚きのサプライズが多数仕掛けられている。衝撃のキャラクターたちの登場も、まぎれもなくそのひとつだ。厳密にいえば「ひとつ」どころではないわけだが……。

本記事では2016年の劇場公開当時に語られた製作秘話などを紐解きながら、それぞれのキャラクターと『ローグ・ワン』の関係性を紐解いていきたい。

この記事には、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のネタバレが含まれています。

グランド・モフ・ウィルハフ・ターキン

『ローグ・ワン』は、『エピソード3/シスの復讐』(2005)と『エピソード4/新たなる希望』(1977)を結ぶ作品、より厳密にいえば『新たなる希望』の直前を描く物語だ。デス・スターの破壊をもくろむ反乱軍はもちろんのこと、着々と計画を実行に移そうとする帝国軍も『新たなる希望』の内容にきわめて近い権力構造をもっている。

となれば、この人が『ローグ・ワン』に登場しないはずがなかった。『新たなる希望』でレイア・オーガナの故郷オルデランを一瞬にして吹き飛ばした、“グランド・モフ”の肩書きをもつウィルハフ・ターキンである。『ローグ・ワン』では悪役オーソン・クレニック総督とのあいだで権力闘争を繰り広げる……というか、ターキンが一方的にクレニックを追い込んでいく。

ところが『新たなる希望』でターキンを演じた英国人俳優ピーター・カッシングは1994年に病没している。後任を務めたのは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』2部作(2010, 2011)でパイアス・シックネス役を演じた、同じく英国人俳優のガイ・ヘンリーだ。しかし本編をご覧いただければ一目瞭然だが、その顔はカッシングそのもの。製作チームは、ヘンリーの頭部をまるごとデジタル処理によってカッシングに置き換えたのである。

2017年1月、『ローグ・ワン』のCGを手がけた米ILM(インダストリアル・ライト&マジック)社のスタッフたちは“ターキン復活”の背景を事細かに解説している。ターキン役のリッチーは、カッシングによるターキンの身振りや声を念入りに研究し、頭にヘッドマウントカメラを装着したうえで演技に臨んだ。

そして撮影されたリッチーの表情を、CGチームはフレーム単位でカッシングのそれへと置き換えていったのだ。筋肉の動きや頭の振り方、唇のねばつきに至るまで微調整が続けられた。参考にされたのは、映画『トップ・シークレット』(1984)の製作時に作られた、カッシング本人の“顔の型”。こうしてターキンが復活するまで、実に18ヶ月もの時間を要したという。

リッチーによる演技やCG処理のプロセスなど、実際の様子は米ABC Newsにて公開された2種類のメイキングにて確かめてほしい。

ダース・ベイダー

もうひとり、『ローグ・ワン』に欠かせなかった『スター・ウォーズ』シリーズの人気キャラクターといえば、もはやほとんど説明不要のダース・ベイダーである。本作のベイダー卿は、帝国軍のデス・スター計画を完遂するためクレニックに強い圧力をかける。ターキンとは異なる角度から、クレニックに決断と行動を迫るのだ。

また本作において、ダース・ベイダーは『スター・ウォーズ』や帝国軍の象徴としての役割をも担っており、物語のクライマックスでは“シリーズ史上最恐”の活躍をみせている。盗まれたデス・スターの設計図を奪い返すべく、ベイダーは反乱軍の艦上にて兵士たちを次々と斬殺していくのである。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

『ローグ・ワン』でダース・ベイダーのスーツアクターを務めたのは、英国人俳優スペンサー・ワイルディングと、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-)などに参加するスタントマンのダニエル・ナプロス。スペンサーはクレニックとベイダーの会話シーン、ダニエルはラストのアクションシーンを務めたとみられる。声優を担当したのは、オリジナル3部作でもベイダーを演じたジェームズ・アール・ジョーンズだった。

製作中に膨大な量の再撮影・再編集が行われた『ローグ・ワン』では、実はダース・ベイダーの出番にも大きな変更が加えられていたことが明かされている。本編のラスト、反乱軍の艦上を舞台とする“ベイダー無双”のシーンは本来の脚本に存在せず、再撮影の段階で追加されたものだというのだ。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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