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ポップカルチャーごった煮『レディ・プレイヤー1』最速レビュー到着!「純粋なエンターテインメント」「スピルバーグをナメちゃいけない」

レディ・プレイヤー1
Photo by Andreas Dantz https://www.flickr.com/photos/szene/9022143613 Remixed by THE RIVER

日本をはじめ全世界の有名キャラクターや、ポップカルチャーを彩ってきた要素がごちゃ混ぜになって登場する、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』。予告編にも小ネタ(イースターエッグ)の数々が散りばめられて映画ファンヤアニメファン、コミックファンを唸らせたが、ついにその全貌が米国で明らかとなった。

2018年3月11日(現地時間)、映画・音楽・インタラクティブをテーマとした巨大フェス「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」の会場にて、本作のワールドプレミア上映が行われ、スピルバーグ監督が登場。観客はスタンディング・オベーションで監督を迎えたという。

『レディ・プレイヤー1』予告編とストーリー

2045年の地球。主人公のウェイド・ワッツ(タイ・シェリダン)は、世界経済の停滞によって厳しい格差社会に直面していた。彼は現実から逃れるべく「OASIS」と呼ばれる仮想現実の世界へ没入するが、あるときOASISの開発者であり億万長者のジェームス・ハリデー(マーク・ライランス)が「世界に隠されたイースターエッグを一番早く見つけた者に全遺産とOASISを譲る」とのメッセージを残して死去。そこにイースターエッグの奪還を狙う組織、IOI(イノベーティブ・オンライン・インダストリーズ)が現れて……。

「長らく、こんなスピルバーグ映画はなかった」

SXSWの会場から到着したのは、日本公開を控える『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(3月30日公開)や『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)など、近年社会性の強い硬派な作品を手がけることも少なくなかったスピルバーグが、71歳にしてフレッシュな冒険映画を撮りあげたことに対する快哉の声だ。

エリック・デイヴィス氏(Fandango)
『レディ・プレイヤー1』は昔ながらのスティーヴン・スピルバーグ作品。引用やすさまじいエフェクト、最高の80’sサウンドトラックだけでなく、魅力的で、温かくて、ユーモアがあって、アラン・シルヴェストリの音楽もすごくいい。大好きになったし、SXSWの観客もそうだったと思います。こんなふうにSXSWの観客が映画に拍手を送ったことがあったか、僕にはわかりませんから。長らく、こんなスピルバーグ作品はなかった。とにかくピュアなエンターテインメントで、バカみたいな笑顔なしに観るのは難しいでしょう。」

エリック・コーン氏(IndieWire)
「『レディ・プレイヤー1』は、スピルバーグがリュック・ベッソンの映画をいっぱい観て、その全部を超えようとしたかのような作品。純粋なスペクタクルという意味で、ものすごいことをやってのけている。スティーヴンをナメちゃいけない。」

アーロン・モーガン氏(映画監督、脚本家)
『レディ・プレイヤー1』は笑顔と冒険、そして温かみがいっぱい詰まった巨大なスクラップブック。憧れる。」

グレイ・ドレイク氏(Rotten Tomatoes)
「毎秒、完全に夢中になりました。史上最も技術的に素晴らしい作品のひとつです。スピルバーグは、これほどのビジュアル・シンフォニーで指揮を執れる数少ない映画監督。とても多くの観客が楽しむことでしょう。とてもすばらしい。」

スコット・ワインバーグ氏(映画ライター)
「『レディ・プレイヤー1』はすごく楽しい。公開前に映画を悪く言うモードになってる人たちは、ガッカリする準備をしておいた方がいい。」

スピルバーグの活劇映画へのカムバックを喜ぶ人々がいる一方、もちろん手放しで喜ばない観客もいる。引いた目線で作品を見つめた者、あまり多くを語らない者、直接的な批判を展開する者の意見も本記事では少しだけご紹介しよう。

ブライアン・タレリコ氏(シカゴ映画批評家協会)
「超、超、超てんこ盛りの映画。時々やり過ぎだとも思いましたが、何度も“この映画、子どもたちは大好きになるだろうな”って思いました。(映画の)ターゲットとなっている人たちは、とても楽しく、そしてワクワクすると思います。」

ジョアンナ・ロビンソン氏(Vanity Fair)
とにかくマーク・ライランスが輝いている。言えることはそれだけ。」

クリスティ・プスコ氏(映画ライター)
「『レディ・プレイヤー1』には、利益のためにファン・カルチャーを利用する有力者が悪役として登場する。この皮肉には頭が痛くなりました。この映画はポップカルチャーへのラブレターではなく、鈍感なノスタルジー。新しいもの、エキサイティングなものはありません。」

米国公開は2018年3月29日(現地時間)だが、さて、一般の観客層はどのように受け止めるだろうか。スピルバーグの映画で育った映画ファンはもちろんのこと、本編で参照される作品やキャラクターのファンがどう観るのか、という点も本作のポイントだろう。

ちなみにSXSWにて開催されたワールド・プレミアでは、本編のクライマックスで音響トラブルが発生し、やむなく上映を途中からやり直すというトラブルに見舞われたという。3度目のやり直しでようやく上映を終えることができたそうで、上映後、スピルバーグは「これまでで一番大きい不安の発作が起こった」と述べたとか。
ちなみに監督は、この映画について「フィルム(film)ではなくムービー(movie)なんです」とも語ったという。なんとなく、この言葉に作品への思いが象徴されているような……。

映画『レディ・プレイヤー1』は2018年4月20日より全国ロードショー

Source: http://variety.com/2018/film/news/spielbergs-ready-player-one-premiere-hit-with-technical-difficulties-1202723753/
Eyecatch Image: Photo by Andreas Dantz https://www.flickr.com/photos/szene/9022143613 Remixed by THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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