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DCドラマ「バットウーマン」主演のルビー・ローズ、ツイッターを削除 ― 批判派からの嫌がらせ受けて

ルビー・ローズ
Photo by Eva Rinaldi https://www.flickr.com/photos/evarinaldiphotography/7471929228/ Remixed by THE RIVER

DCコミックスの女性ヒーロー、バットウーマンを主人公とする新作ドラマシリーズ「バットウーマン(邦題未定、原題:Batwoman)」に主演女優として起用されたルビー・ローズが、嫌がらせを受けて自身のTwitterアカウントを削除した。これとあわせて、Instagramでもコメント欄を閉鎖している。

ドラマ「バットウーマン」の主人公となるのは、コミックにおける“二代目”バットウーマンのケイト・ケイン。レズビアンという設定で、スーパーヒーローを描いた実写作品においてセクシャル・マイノリティが主人公となるのは本作が初めてだ。製作を務める米The CW局は企画発表当初からレズビアンの女優を起用する意向を明かしており、また、ルビーは12歳からレズビアンを公言していることで知られていた。

ところがルビーが「バットウーマン」に抜擢されたことが告知されるや、このキャスティングに納得しないファンから、ルビーのSNSに宛てて批判や嫌がらせが寄せられた。複数のメディアが伝えているところによると、「ルビーにバットウーマンを演じられるほどのスキルはない」という内容のほか、「ルビーはレズビアンではない」「ルビーはレズビアンであることを強調しすぎている」など、本人の性的指向などに言及する嫌がらせが続いたという。

これに対してルビー本人は、Twitterのアカウントを削除する以前、嫌がらせに対してこう記していた。

「“ルビーはレズビアンじゃないからバットウーマンにはなれない”なんて、どうしてそんなことを言われるんだろう? 今まで読んだ中でも一番笑えるし、一番バカげてる。12歳でカムアウトしたんですよ? これまでの5年間は“ゲイっぽすぎる”って言われてきたのに、どうしてそんなふうに逆転するの? 私は変わってませんよ。」

冒頭に記した通り、2018年8月12日現在、ルビーのTwitterアカウントは削除され、Instagramアカウントのコメント欄は閉鎖された。ただしバットウーマン役を演じることが伝えられた際の投稿は、現在もInstagramにて見ることができる。

「(バットウーマン役に)私はとても興奮して、また光栄に思っています。それから精神的に参っています…だって、この役は子どものころの夢だったんですから。私がLGBTコミュニティの若いメンバーだったころ、このキャラクターをテレビで見たらぶっ倒れてたでしょうね。テレビには自分と同じような人がいない、自分は孤独で普通じゃないんだと思っていたころに。みなさん、ありがとうございます。神様、ありがとう。」

女優に対するSNS上での嫌がらせについては、2018年6月、ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」(2016-)で人気の子役ミリー・ボビー・ブラウンが激しい嫌がらせを受けてTwitterアカウントを削除。同月には映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)のケリー・マリー・トランも差別発言や嫌がらせを苦にInstagramの全投稿を削除し、アカウントを事実上閉鎖したことが問題となっていた。一方的な嫌がらせによって俳優がSNSを去ることとなったのは、確認できる大きなケースだけでも、約2ヶ月間で今回が3例目となる。また、子役やアジア系女優、そして性的マイノリティという人物に向けてこうした行いが続けられていることは、単純に「SNSの使い方」「ネットリテラシー」という範囲を超えた、より根の深い問題だと理解すべきだろう。

ルビー演じるバットウーマンは、2018年12月に米国で放送される、「ARROW/アロー」(2013-)、「THE FLASH/フラッシュ」(2014-)、「SUPERGIRL/スーパーガール」(2015-)、「レジェンド・オブ・トゥモロー」(2016-)のクロスオーバー・エピソードで初登場する予定。今後さらなる問題が生じないこと、出演者本人や関係者だけでなく、バットウーマンの登場を楽しみにしているすべての人々が傷つくような出来事が起こらないことを、今はただ願うばかりである。

Sources: Comicbook.com, FandomWire, LGBTQ Nation, Ruby Rose
Eyecatch Image: Photo by Eva Rinaldi Remixed by THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。