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ディズニーの20世紀フォックス買収、再び振り出しに戻る?コムキャストの再参入でフォックス会長が翻意か ― 米報道

ディズニー

米ウォルト・ディズニー・カンパニーによる21世紀フォックス社の事業買収に波乱が生じている。21世紀フォックス社の会長を務める、“メディア王”ルパート・マードック氏がディズニーへの売却を渋り始めたというのだ。

2017年12月、ディズニーは21世紀フォックスの映画事業(20世紀フォックス)、テレビ事業(FOXネットワークス・グループ)などの買収を正式に発表。買収額は524億ドルと報じられ、株式取引によって事業統合は進められる予定で、買収は2019年の夏までに完了するとされていた。
しかし2018年5月下旬、コムキャスト社がディズニーを上回る買収額(600億ドルとも報じられている)を全額現金で用意して買収劇に再参入すると伝えられた。現時点でコムキャストは最終決定を下していないというが、同社はその準備を水面下で進めているという。

米証券会社のアナリストであるリチャード・グリーンフィールド氏は、米国の経済専門チャンネルCheddarにて、ルパート氏がディズニーへ事業を売却する意志を翻しつつあることを伝えている。これまで専門家は、ルパート氏はディズニーへの売却を重要視している、コムキャストとの全額現金による取引で余計な税金が発生することを避けたがっていると語ってきたが、どうやらそれは事実ではないようだ。

「ルパート氏は(フォックス社の)株主と同じく、できるかぎり最高の結果を望んでいます。つまり現金にせよ株式にせよ、最高金額での取引を求めているのです。[中略]ルパート・マードックはディズニーに(事業を)売却する気はありません。コムキャストにとって、これは現在ディズニーのいる位置を目指す、非常に重要でプレミアムな入札のきっかけとなります。」

リチャード氏の情報が正しければ、2017年12月の発表からわずか半年で、フォックスの事業買収をめぐる状況は完全に振り出しに戻ったといっていいだろう。コムキャストが買収に王手をかけてくる可能性は高そうだが、一方でディズニーはすでにコムキャストと争う準備を進めているという情報もある。ルパート氏がフォックスの価値を最大限に高めて売却しようと目論んでいるのであれば、ここから先はディズニー対コムキャストのチキンレースとなるかもしれない……。

なお映画ファンにとって──ディズニーのフォックス買収に好意的である者にもそうでない者にも──最大の論点となるのは、ディズニーが「スター・ウォーズ」やマーベル・キャラクターの権利を統合できるかどうかという点だろう。「スター・ウォーズ」の権利が統合されれば、今後の上映などであらゆる可能性が開かれ、また全作品のボックスセットなどがリリースされることもありうる。マーベルの場合、これまで映像化権が分かれていたアベンジャーズとX-MENやデッドプール、ファンタスティック・フォーのクロスオーバーが実現することにもなりうるのだ。

まだまだ一筋縄では進みそうにないディズニー&フォックスの買収劇、遠からず続報が到着するはずだ。今後の展開にもきちんと留意しておきたい。

Sources: Cheddar, THR

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。