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撮影監督が銃弾誤射で死亡、アレック・ボールドウィン主演映画が製作再開へ ─ 遺族が製作総指揮に就任

アレック・ボールドウィン
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28246306070/

アレック・ボールドウィンの主演映画『ラスト(原題:Rust)』の撮影現場で小道具の銃から実弾が発射され、撮影監督のハリーナ・ハッチンス氏が死亡した事故について、遺族と製作チームが正式に和解した。ハリーナ氏の夫であるマシュー・ハッチンス氏が製作総指揮に就任し、2023年1月に撮影が再開される。米Deadlineなどが報じた。

問題の事故は、2021年10月21日午後、米ニューメキシコ州サンタフェ南部の牧場「Bonanza Creek Ranch」にて発生したもの。撮影の準備中、ボールドウィンが握っていた小道具の銃から実弾が発射され、近くにいたハリーナ氏とジョエル・ソウザ監督が被弾。ハッチンス氏は病院への搬送中に死亡した(ソウザ監督は治療を受けたのちに退院している)。事故の発生時、ボールドウィンやソウザ監督らスタッフは小道具に実弾が入っていることを認識していなかった。しかし事故の直後から、製作チームのずさんな体制やトラブルが相次いで報告されている

2021年12月、ボールドウィンは米ABCのインタビューにて、誤射の直前にハリーナ氏へ銃を向けるよう指示されたと述べ、「起こったことは誰かの責任」「私の責任ではない」と涙ながらに語った。しかし2022年2月、夫のマシュー氏は、ボールドウィンの責任を認めない姿勢に怒りをあらわにしている。同月、遺族はボールドウィンを含むプロデューサーやスタッフを相手取り、事故の責任を問う訴状を提出した

もっとも事故から約1年が経過し、両者は和解に至ることができた。2022年10月5日(米国時間)、マシュー氏は製作側との和解に至ったことを発表。訴えを取り下げること、自身が製作総指揮に就任する形で『ラスト』の製作を2023年1月に再開すること、主要なキャスト・スタッフが続投することを明らかにした。

「私は(プロデューサーの皆さんやボールドウィン氏を)攻撃、非難することに関心はありません。我々はみな、ハリーナの死は最悪の事故だったと信じています。プロデューサーの皆さんやエンターテインメント業界が、ハリーナの最後の仕事に敬意を表するため、力を合わせてくださったことに感謝しています。」

和解の発表を受けて、『Rust』の製作チームやボールドウィンの弁護士も相次いで声明を発表。ボールドウィン自身も、Instagramにて「撮影監督ハリーナ・ハッチンスのご家族を代表しての民事訴訟において和解いたしました。この困難な過程を通じて、誰もがハリーナのご子息にとっての最善を求めつづけてきました。この悲しく、痛ましい出来事の解決に貢献くださった皆さまに感謝いたします」とコメントしている。

また、自身も事故で負傷したダニエル・ソウザ監督は、ハリーナ氏の才能を称えるとともに「今とは別の形で、彼女の素晴らしい仕事を通じて、世界に彼女のことを知ってもらいたかった」と記し、自身が監督として続投するには、夫のマシュー氏ら遺族の関与が必要だと考えたことも明かしている。「本当につらいけれども、ハリーナとともに始めたものを完結させられることに感謝しています。彼女の遺したものに敬意を表し、彼女自身が誇りに思えるよう全力を尽くします」。

なお、本作で銃器を担当していたハンナ・グティエレス氏を含む複数のスタッフについては、現在も民事訴訟が進行中とのこと。しかしながら製作陣と遺族が和解に至ったことで、それぞれの訴訟や刑事責任についても状況が変化する可能性があると報じられている。

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Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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