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サンディエゴ・コミコン、「Comic-Con」商標権めぐる裁判でソルトレイクに勝利 ─ 「東京コミコン」への影響は

Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/9363285089

米国で、「コミコン」の商標権を巡る判決が下った。日本においては「東京コミコン」の第3回開催が2018年11月30日〜12月2日に控えるが、影響のほどは。

米カリフォルニア連邦裁判所は現地時間2018年8月23日、ユタ州で開催のコンベンション・イベント「ソルトレイク・コミコン」に対し、カリフォルニア州で開催の「サンディエゴ・コミコン」へおよそ400万ドルのフィー支払いを命じた。この判決は、”Comic-Con”および”Comic Con”の名称が、サンディエゴ・コミコン固有の商標であることをより鮮明にした。これより、”Comic Con”の名称を使用する米国内の多数のイベントに影響が及んでいくものと見られる。

「コミコン」とは

「コミコン」は、コミックや映画、ゲームなどのポップカルチャーに関する大規模なコンベンション・イベント。その歴史は1970年発祥と古く、現在では人気映画の新作発表の場となるなど、エンターテインメント業界およびファンに対して世界規模の影響力を持つ一大イベント。同様のイベントは世界中にいくつも存在し、日本においては2016年より「東京コミコン」として開催されている。

サンディエゴ・コミコン、商標権をめぐる訴え

この発祥であるサンディエゴのコミコン・インターナショナルは2014年、ソルトレイクで開催の別団体による「ソルトレイク・コミコン(Salt Lake Comic Con)」が同名称を正当な許可なく使用し、権利を侵害しているとして提訴。コミコン・インターナショナルはこの損害金額を1,200万ドルと見積もっていた。しかし、2017年の判決は「権利の侵害は”故意”ではなかった」として、被告のソルトレイク側に命じられた支払い金額はわずか2万ドルだった。

続けてサンディエゴ側は、ソルトレイク側に「コミコン」名称の利用を永久的に禁止するよう望み、さらに同裁判にかかった法的費用の補填を要求。”Comic Con”という表記は一般的なものであると考えるソルトレイク側は、辞書にある”con”の単語の定義を「驚くほど」繰り返し主張して戦ったが、判事はこれを「しつこい」「主張の焼き直し」として認めず。米Deadlineの伝えるところによると、ソルトレイク側の弁論は「壊れたレコードのようだった」という。これによってサンディエゴ側の「”Comic-Con”とはブランドである」との主張が守られ、この裁判のためにかかった法的費用の獲得が認められることとなった。サンディエゴ側が求めていた金額は約500万ドル。実際の裁定では、ソルトレイク側はこの法的費用として376万ドル、経費として21万ドルを支払うことになった。

判決 ─ ソルトレイク、「コミコン」名称の利用禁止へ

この度の判決で米地方裁判所のアンソニー・バタグリア判事はソルトレイク・コミコンに対し、“Comic Con”と”Comic-Con”の名称使用の差止めを命じた。”ComiKon”など、同音表記も使用不可となる。これは”Comic Con”を彷彿させる一切の表記を禁止する効力があり、例えば同公式Webサイトに現在使用されている”formerly known as Salt Lake Comic Con(=旧名ソルトレイク・コミコン)”といった使い方も封じられた。ただし、これまでに既に生産された同名称記載の関連商品の破棄までは命じていないという。ソルトレイク・コミコンは現在、既に”FanX® Salt Lake Comic Convention”の名に改められている。

現在、”Comic Con”を冠するコンベンション・イベントは世界中に多数存在。この裁判はかねてより行く末が案じられており、一例として米アリゾナ州開催のフェニックス・コミコンは2018年1月、この裁判を考慮して「フェニックス・ファン・フュージョン(Phoenix Fan Fusion)」の名に自主規制的に改めている。

The Sandiego Union Tributeによれば、原告側の弁護士ピーター・ハーン氏は、サンディエゴ・コミコンに匹敵する巨大イベントの「ニューヨーク・コミコン」への異議申し立ての今後についてはコメントしていないというが、「現在”Comic Con”の名を使用している正当なイベント・プロデューサーは、名称を変更するか、ライセンス契約を結ぶべきだ」と語っているという。

「東京コミコン」への影響は

日本在住のポップカルチャー・ファンにとって、最も身近な懸念は「東京コミコン」への影響だろう。この度の判決でソルトレイク・コミコンは、”Comic Con”や”Comic-Con”などの名称はもちろん、これらと同じ発音となる表記も差し止められている。東京コミコンも公式ロゴマークに「TOKYO COMIC CON」の名称を使用しているが、この度の判決による影響は現れるだろうか。弁護士の稲垣氏に話を聞いた。(※当メディア編集部の稲垣とは同姓の別人です。)

稲垣氏によれば、海外 での判決が日本国内に効力を持つことはないため、この判決を日本で承認するには手続きが必要となる。もっとも、サンディエゴ・コミコンが東京コミコンに対し訴えを起こすことはできるが、その際にもやはりソルトレイク時の判決が効力を持つことはないという。

現在、”Comic-Con”の商標登録は米国内のもの。ここから見るに、いわゆる「直ちに影響はない」と言えるものと思われるが、あとはサンディエゴ・コミコンの意向と東京コミコン側の自主的な動きによるだろう。おそらく、まずは米国内における影響が先に現れるはずだ。”Comic Con”を冠するイベントは、現在米国内に17件存在している。「サンディエゴ外で開催されている自称”Comic-Con”の、終わりの始まりかもしれない」──米The Hollywood Reporterはこう書いている。

「注目しておきたいのは、サンディエゴ側は”Comic-Con”の名称を扱う別地域のイベントにも提訴や異議申し立てを行っていることだ。これらは本件のために保留とされていた。つまりサンディエゴ対ソルトレイクは試金石だったのである。

Source:The Sandiego Union Tribute, Deadline,THR
Eyecatch Image:Gage Skidmore

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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