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アカデミー賞受賞『ANORA アノーラ』監督、「マーベル映画は撮らない」宣言 ─ 「自分のビジョンを完全に守り抜きたい」

ショーン・ベイカー
Photo by Frank Sun https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sean_Baker_at_the_2024_Toronto_International_Film_Festival.jpg Remixed by THE RIVER

2025年の映画賞レースを席巻し、アカデミー賞では作品賞ほか5部門に輝いた『ANORA アノーラ』(2024)。監督・脚本のショーン・ベイカーは、監督賞・脚本賞・編集賞を受賞しており、1作品で4部門のオスカー像を受け取ったのは史上初の快挙となった。

時代の寵児として一躍注目されたベイカーは、早くも次回作に大きな期待が寄せられている。米The Hollywood Reporterにて、ベイカーは次回作について「わかりません。まだアイデアを探しているところです」と話した。

もっとも、ベイカーは決して大作志向ではないようだ。「マーベル映画は期待しないでください。それはありません」と断言したのである。

「僕は意図的に、これまでと同じ領域、ほとんど同じ予算で映画を作っていくつもりです。100%インディペンデントな領域で仕事をするのが楽しいんです。小さなスタジオで働くこともありません。インディペンデントで映画を作り、願わくば入札合戦や、誰かが権利を買ってくれる、伝統的なルートでやるつもりなのです。これが自分のビジョンを完全に守り抜き、コントロールする唯一の方法です。」

以前から「生涯インディーズ映画作家」を公言するベイカーは、2024年のインディペンデント・スピリット賞の授賞式にて、映画業界には「大手スタジオが絶対にゴーサインを出さない題材で、劇場公開を前提に、個人的な映画を作りたい人たちがいる」と訴えていた。「私たちは完全なる芸術的自由と、役柄にふさわしいキャストを選ぶ自由を求めます。興行収入やSNSのフォロワー数に基づいて強制的に選ばされるのではなく。このシステムはシンプルに持続不可能で、変革が必要です」。

ベイカーが言及したマーベル映画では、ジェームズ・ガンやジョン・ワッツ、スコット・デリクソン、タイカ・ワイティティ、デスティン・ダニエル・クレットン、クロエ・ジャオといった監督たちがインディペンデントからスタジオ映画に進出。なかには見事にチャンスをつかみ、大作路線にシフトした才能もいるが、ベイカーが目指すのはまた別の方向性だ。

ちなみに『ANORA アノーラ』でアカデミー賞の主演女優賞に輝いたマイキー・マディソンも、『スター・ウォーズ』新作映画を断ったという報道が話題を呼んだ。もしかすると、ふたりは互いによく似た考え方の持ち主なのかもしれない。

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Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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