『シャン・チー』主演シム・リウ、ディズニーCEOの「実験」発言に反論 ─ 「いかに僕たちがこの映画を信じているか」

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、思わぬ緊張感のもとでワールド・プレミアを迎えることとなった。開催直前、主演俳優のシム・リウが、ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・チャペックCEOの発言にSNSで反論したのである。
発端となったのは、ディズニーが『シャン・チー』を、劇場公開の45日後にディズニープラスで配信するという新戦略を採用したこと。『ブラック・ウィドウ』では“プレミア アクセス”という形での同時配信となったが、本作は45日間の劇場独占上映が確約されている。これについて、チャペック氏は投資家向けの説明会で「我々にとっても興味深い実験になるでしょう。[中略]今後に影響を与える、新たなデータ・ポイントになる」と述べたのである。
しかし、『シャン・チー』はキャストたちにとって非常に重要な作品だ。『ブラックパンサー』(2018)がキャスト&スタッフのほとんどを黒人が占めたように、シャン・チーはMCU初のアジア系ヒーローであり、作品の主要キャストも主にアジア系の役者が固めた。チャペックの発言を明らかに踏まえ、リウはSNSに「僕たちは実験ではない」と記したのである。
「僕たちは実験ではありません。
僕たちは勝ち目がないと思われ、過小評価されています。僕たちは、ガラスの天井を壊す者たち。あまたの問題を抱えた一年を経て、(自分たちの)文化と喜びの祝福を続けることでしょう。
僕たちはサプライズなのです。
9月3日、歴史を作ることへの気合いでいっぱいです。一緒にやりましょう。」
We are not an experiment.
We are the underdog; the underestimated. We are the ceiling-breakers. We are the celebration of culture and joy that will persevere after an embattled year.
We are the surprise.
I’m fired the f**k up to make history on September 3rd; JOIN US. pic.twitter.com/IcyFzh0KIb
— Simu Liu (刘思慕) (@SimuLiu) August 14, 2021
米Varietyはプレミアの会場で、リウ自身に投稿の真意を尋ねている。
「いかに僕が気合いを入れているのか、ただ皆さんに知ってほしかった。誰もが厳しい、つらい時を過ごしている中では、そういうメッセージを伝えることが大切な時もあると思います。それが僕の感情であり、本心です。いかに僕らがこの映画を信じているのか、いかに素晴らしい作品なのかを世界にお見せするわけですから。まさに世界を変えることになると思います。」
同じく、プレミアではマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギもリウの投稿に反応した。「彼はシャイな男ではないですからね」と前置きしつつ、ファイギ社長は「みなさんがご覧になったツイートは誤解されていると思います。(対立しようという)意図ではありません」と代弁した。「その証拠は映画の中にあって、我々はいつもどおり大胆な挑戦をしています。大きな創造的エネルギーを投じ、このオリジン・ストーリーを映画化するための予算も惜しみませんでした」。
ちなみに『シャン・チー』については、このワールド・プレミアを経て、早くも絶賛コメントが広がっている。「歴史を作る」と宣言したリウの意気込みはどのような形で達されるのか? いよいよ劇場公開が近づいてきた。
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は2021年9月3日(金)全国公開。
Sources: Simu Liu, Variety, The Hollywood Reporter