『シャザム!』続編の公開延期、ワーナーの財政難が原因か ─ 年内公開作品の資金不足、米記者が指摘

『シャザム!』(2019)の続編映画『シャザム!~神々の怒り~』の米国公開再延期に、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの財政難が関係している可能性が浮上してきた。
2022年8月24日(米国時間)、ワーナーは『アクアマン』(2018)の続編『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)』の米国公開日を、ポストプロダクション(撮影後作業)の遅れゆえに2023年12月25日に延期すると発表。同作が公開されるはずだった2023年3月17日には『シャザム!~神々の怒り~』を公開すると発表したが、同作は本来2022年12月21日と年内公開の予定だった。
米The Hollywood Reporterのボリス・キット記者は、この決定を「ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの財政的混乱を明らかに示すもの」と指摘。「スタジオには年内に2本の映画を公開するだけの資金しかない」と記した。この“2本”とは、ドウェイン・ジョンソン主演のDC映画『ブラックアダム』と、フローレンス・ピュー&ハリー・スタイルズ共演のスリラー映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』。のちにキット氏は、低予算のコメディ映画『House Party(原題)』も含めて年内の公開作品は3本だと訂正。「しかし、“映画を市場に出すためのお金がない”という問題に直面していることは事実だ」と強調した。
2022年4月に設立されたワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、当時から非常に厳しい財政状況にあった。設立直後、米ロイター社は「ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、主に事業統合に係わる550億ドルの負債を背負うことになる」として、新CEOのデヴィッド・ザスラフの選択肢は狭いと断定。8月、新経営陣が『バットガール(原題)』などを“損切り”の形でお蔵入りにしたのは、およそ30億ドルを節約するためとされる。しかし、この決定については「30億ドルを節約するため、時価総額にして200億ドルの損失を出した」など厳しい声もあがった。
キット氏は実名を伏せながら、“とある怒れるプロデューサー”の証言として、「彼ら(ワーナー)にはお金も答えもない」との意見を紹介している。2020年に劇場公開とHBO Maxの同時配信に(無断で)踏み切ってフィルムメーカーの怒りを買い、『バットガール』のお蔵入りで再び作り手の評判を下げたワーナーは、この苦境を脱し、以前のクリエイター・フレンドリーな印象を取り戻すことができるか。事態は相当深刻なように思われる。
The moves underscore what a financial mess Warner Bros. Discovery is as the studio has only enough cash to release 2 movies from now to the end of this year (Don’t Worry Darling and Black Adam). https://t.co/qZReE7BO6W
— Borys Kit (@Borys_Kit) August 24, 2022
Small correction: Low-budget comedy HOUSE PARTY intended for HBO Max, is now getting a release in December. So make that 3. But no denying the “no money to market movies” problem the studio is facing now. https://t.co/0Kd1OC797u
— Borys Kit (@Borys_Kit) August 24, 2022
“They have no money and no clues,” says one exasperated producer. https://t.co/5PhAe5FrgR
— Borys Kit (@Borys_Kit) August 24, 2022
Source: Borys Kit, Reuters, Consequence Film