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【ネタバレ】「シー・ハルク」第1話、あのシーンは必要不可欠だった ─「あの空間」で芽生える魔法の連帯感

シー・ハルク:ザ・アトーニー
(c) 2022 Marvel

この記事には、「シー・ハルク:ザ・アトーニー」のネタバレが含まれています。

シー・ハルク:ザ・アトーニー
(c) 2022 Marvel

あのトイレシーンは必要不可欠だった

2022年8月18日より配信となった「シー・ハルク:ザ・アトーニー」の第1話では、ジェニファー・ウォルターズが交通事故で負った傷口に、ブルース・バナーの血が流れ込んでしまう。ジェニファーはシー・ハルクとして目覚め、抑えきれない力を暴走させていく。意識を失い、次に目覚めた瞬間、元の自分の姿に戻っていたジェニファーだが、着ている服と身体が激しく汚れていた。それを何とかするためにジェニファーは、とあるスポーツバーのトイレに忍び込むことに。

そのトイレに入ってきた女性たちは、そんなジェニファーの姿を見て、「あんた平気?」「誰がやったの?」「そいつに愛なんかない」と初対面にもかかわらず友人のように心配し、メイクしてあげたり綺麗な靴や服をあげたりするのだった。そしてブルースの助けを呼ぶために携帯まで貸してあげるという、これ以上ない優しさをみせるのだ。前述の通り、ジェニファーはシー・ハルクとして暴走したことにより現在の状態に至っているわけだが、そんなことを知る由もない女性たちの目には、パートナーから酷い仕打ちを受けた女性として映っていたのである。

このトイレでの一連の展開こそが、本作のヘッドライターであり、クリエイターのジェシカ・ガオにとって必要不可欠な場面であり、本編に盛り込むため奮闘した場面なのだという。米ScreenRantとのインタビューでガオは、このトイレシーンがいかに重要だったのかをこう説明している。 

「私にとってはとても重要なんです。あのシーンのために戦わなければなりませんでした。あれがなぜ重要なのか、多くの人が理解していませんでしたから。たしかに表面的に見れば、“余計なシーンだ。プロットとして理屈が通っていない”と、カットしてもストーリーを理解することができるはずと思うでしょう。でも私としては、“あのシーンはこのエピソード全体の中でとても重要”と感じていたんです。女子トイレにおける魔法と保護的な温かさがよくわかりますから。美しく、安全な環境なんです。バーの外だったら、彼女たちはお互いに喧嘩をしていたかもしれません。でもなぜか、女子トイレのドアという壁を越えると、そこは最も保護的で、協力的で、愛情に満ちた環境なんです。クラブのトイレで出会った女性は、必要であれば男を埋めることも手伝ってくれますよ。」

トイレで女性たちに助けられた後、ジェニファーはスポーツバーの外に出る。ひとりでブルースの迎えを待つ中、男たちに声をかけられ、その誘いを断るも囲まれてしまう。そこでジェニファーはシー・ハルクとなり男たちを圧倒するのだった。

なおジェシカ・ガオは、米Varietyのインタビューに「このドラマのビッグテーマはアイデンティティです。アイデンティティとは、自分が自分をどう見ているか、この世界のなかでどう動いているのかということだけでなく、その世界が自分をどう見ているか、世界が自分をどう扱っているかということでもあると思うのです」と説明している。このトイレでの女性たちとの連帯感、ナンパを一蹴する姿は、このテーマを伝える上でも極めて重要だったということだろう。

ドラマ「シー・ハルク:ザ・アトーニー」は、ディズニープラスにて独占配信中。

Source:VarietyScreenRant

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。