「SHOGUN 将軍」按針役&マーティン司祭役にインタビュー ─ 「このドラマ成功の理由は、全員が狂気に取り憑かれて製作したから」

──お二人が演じたキャラクターについてお話ししましょう。按針とマーティンは、英語でやりとりができるという点で、当時の日本では貴重な関係だったと思います。しかしながら、立場の違いから反目し合うことになります。二人の関係性について教えてください。
コズモ:宗教上の考え方の違いがあり、その違いが政治的な考え方の違いとなっていました。当時、ポルトガルやスペインのカトリックと、英国のプロテスタントは、本質的に憎み合っていました。戦時中でしたからね。でも、マーティン・アルビトは最悪のカトリックというわけではありません。そのことが二人の最初の足がかりになりました。
マーティン:思いやりのあるキャラクターにする必要があって、そうでなければ見ていて面白くありません。そしてジョン・ブラックソーンは、この国にやってきた明らかな脅威でした。長い間、カトリックは日本でよろしくやってきたのに、彼は初めての“外からの脅威”でした。だから、彼を単なるヴィランにせず、キャラクターに深みを作るのはとても面白いことでした。

──あの頭ですが、実際に剃ったのですか?
トミー:剃りましたが、カツラをかぶっています。ヒロト(樫木央海役の金井浩人)は実際に丸刈りにされていたので、撮影期間中はずっと帽子をかぶっていました。僕は(カツラで)禿頭にできたけど、彼は本当にやったんです。ヒロトさんは一年間、外出しなかったって(笑)。
コズモ:僕は会ったよ!バンクーバーで。(頭について)気にしてなかったよ。
マーティン:あ、帽子も被ってなかった?
コズモ:被ってなかった。
マーティン:すごいなぁ。僕にはできない(笑)。
──コズモ、按針の物語のどんなところが面白いと思いますか?
コズモ:ネタバレなしで言うのは難しいですが……、彼は優れた交渉人です。そして彼の行う交渉の裏の意図とは……、ドラマの最後の瞬間まで明らかにならないでしょう。だから、彼は純粋な動機で動いているのか、それとも不純な動機で動いているのかどうかは、視聴者に委ねられています。そこが彼の物語の面白いところです。

──マーティンは、按針や鞠子にどのような影響を及ぼす存在ですか?
トミー:僕たちのキャラクターは、二人とも鞠子に特別な好意を寄せています。一風変わった、封建的な日本の愛の三角関係みたいですね。
マーティンは10代の頃に日本にやってきて、日本が彼の知るすべて。日本人に受け入れられることが、彼の真の闘いなのです。原作小説の中で、彼は“流暢な日本語を話す”と書かれています。それだけの語力があり、そして人生を日本に捧げているのに、それでもまだ、完全には受け入れられていない。
僕の演技では、“僕を受け入れてよ”という、彼の中にある子供らしさを少し引き出しています。彼は、連れてこられた孤児のようなものです。この異世界に迷い込み、精一杯頑張っているんです。按針さん同様、僕たちは水から挙げられた魚のように場違いな存在で、そういう共通点はありますね。
──鞠子役のアンナ・サワイの演技が素晴らしかったですね。二つの言葉を巧みに操り、内なる感情を隠すような演技を見せています。お二人とも彼女とのシーンが多かったですが、共演はいかがでしたか?
コズモ:彼女はとてもハードワーキングで、そして面白い方でした(笑)。思いがけない時にボケてくるんです。例えば……、いや、台無しになるから言わないでおきます(笑)。とにかく、良い仕事仲間です。
トミー:彼女も真田さんと同じように、とても素直な方で、このドラマやキャストのことを愛していて、いつも現場にポジティブなエネルギーをもたらしていました。彼女の演じる役は巨大な山のようですが、そんなことは感じさせず、いつも共演者に気を配っていました。

──安心して仕事ができると感じた瞬間は、どんな時ですか?
コズモ:常にですよ。上下関係に関係なく、携わる全員がベストを尽くしていたので、本当に良い環境でした。
トミー:ロサンゼルスのプレミアで、第1話と第2話を監督したジョナサン・バン・トゥレケンと話したことがあります。このドラマがうまくいった理由は、全員がほとんど狂気に取り憑かれたような状態だったからだというふうにね。
みんな、このドラマを成功させることに取り憑かれていて、だからこそ互いを信頼し合っていました。時には、これが正しいのか、うまく見せられているのか、うまくいくのかがわからない時もあります。でも、とにかく一緒に仕事をしている人たちを信じてやるのみ、という感じでした。

コズモ:そして、質問をすることが奨励されている雰囲気というのも大きかったです。質問を尋ねることが、ネガティブなことだと捉えられていなくて、そのシーンに携わる全員のベストを引き出すためのものだから、どんどん聞いてくれという雰囲気でした。それから、資料を詳しく調べることも奨励されていました。結果を最大化するためのものであれば、どんなことでも奨励されていましたね。
──質問というのは、具体的にどんなことを?
コズモ:たくさんあるのですが……(笑)、特に、脚本の中で説明的な要素のあるところについてですね。必ずしも明確に説明されるわけではないので、最終的にキャラクターによってどこで拾われるのかを確認しておきたかったからです。
ドラマ作品なので、ある人々が登場して、また別の人々が登場して……、と進んでいく。正確に説明されるディティールもあれば、仮定で進んでいくものもある。だから僕はいつも、「彼はどこでこれを学んだんですか?」「誰が彼にこれを教えたのですか?」ということを具体的に聞いていました。そういう質問の回答を通じて、ブラックソーンへの理解の解像度も上がっていきますからね。
脚本に描かれていないところで、彼が何をしていたのか。それこそが、すごく重要な情報なんです。彼はこの世界で誰と付き合っていたのか?誰と話していたのか?誰かにものを尋ねたのか?その時彼は、ここに行け、これをやれ、この言葉を覚えろ、と指示をされたのか?そういうディティールを追求しました。エクゼクティブ・プロデューサーのジャスティン・マークスが、喜んでアシストしてくれましたよ。
トミー:ジャスティンは本当に素晴らしい方でした。絶対に電話に出てくれるんです。何時にかけても出てくれる。彼は制作中すごく痩せていて、病気かと思うくらいでしたよ(笑)。四六時中、このドラマを成功させるために身を粉にして働いていましたから。
例えば、脚本に問題があると思って、夜に彼と電話をして、じっくり話し合ったんです。そうしたら大変なことになってしまって……、現場に現れた彼が膨大な量のディティールを持ち込んでね(笑)、セットやキャラクター、あらゆることについて何時間も話し合ったんです。