『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』カットされた「愛しい」シーンが多く存在 ─ 脚本家が語る苦渋の決断

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、惜しくもカットを余儀なくされたシーンが多々あったという。カットか否かを判断するにあたっては、どのようなプロセスが踏まれていたのだろうか。共同脚本を務めたエリック・ソマーズが明かしている。
ピーター・パーカーのフィナーレにしてはド派手とも言えるか、『ノー・ウェイ・ホーム』には過去の『スパイダーマン』シリーズに登場したヴィランたちが揃って復帰したり、ドクター・ストレンジも参戦したり、そのアッセンブル感は『アベンジャーズ』シリーズを思わせる。ともあれ、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)から脚本を務めてきたエリック・ソマーズとクリス・マッケナには、『ノー・ウェイ・ホーム』の脚本作業で強いられた苦渋の決断があったようで、ソマーズは米Discussing Filmにこう語っている。
「辛い選択はたくさんありました。“もしこれをやれていたら絶対気に入っていた”と思うシーンだったり、“この2人のヴィランが一緒にアレを出来たら最高じゃないか”と思えていたシーンだったりが。でも(作品は)、ピーター・パーカーのためのものでなければいけないですし、それを一貫しなければいけません。“リトル・ダーリン(愛しきもの)”と呼んでいたもの(シーン)は本当にたくさんありました。ただただ愛しいと思えるような瞬間などが。でも時には、手放すことも必要で。」
本作は、『ホームカミング』に始まったトム・ホランド版『スパイダーマン』シリーズ3部作の完結編であるだけではなく、MCUで長らく待たれてきたマルチバース展開を切り拓いたマイルストーン作品としても位置付けられている。重要な要素を絡み合わせ、1つの作品としてまとめ上げるのは、前2作とは違う困難が常に付きまとっていたはずだ。
ソマーズは“ピーター・パーカーのためのものでなければいけない”と語ったが、まさに“リトル・ダーリン”たちをカットするか否かの指標として据えられていたものこそ、それがピーター・パーカーにとって重要か、そうでないかというシンプルな問いだった。「結局は、『スパイダーマン』映画なんです」とソマーズ。「ピーター・パーカーの物語を伝えていかなければいけないですし、全てはそのために存在しているんです」と執筆作業の軸を強調した。
いわゆる“リトル・ダーリン”に該当するかはさておき、『ノー・ウェイ・ホーム』本編からカットされたシーンの1つが、本国アメリカでの封切り前から判明していた。トム・ホランドの弟、ハリー・ホランドのカメオ登場シーンだ。ハリーは、銀行強盗しているところをスパイダーマンに捕まってしまう「麻薬の売人」役として登場予定だったが、兄のトムが完成版を観た時にカットされていたのだという。
Source: Discussing Film