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『スパイダーマン:スパイダーバース』、全実写キャストのトビー・マグワイア、ガーフィールド、トム・ホランドが集結するシーンが検討されていた

『スパイダーマン:スパイダーバース』
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様々な世界のスパイダーマンが集結する『スパイダーマン:スパイダーバース』は、第91回(2019年)アカデミー賞で長編アニメ映画賞に選ばれ、名実ともに「スパイダーマン映画史上最高傑作」の呼び声を欲しいがままにしている。熱狂した観客の中には、「いや、アメコミ映画史上最高傑作だ」との声まであるほどだ。

本作がこれほどまでに評価される理由のひとつとして、卓越したアニメーション表現はもちろんのこと、「平行世界の複数のスパイダーマンが集結する」という一見難解なテーマを、しかも圧倒的なスピード感の中で映像化している点がある。やもすれば「一見さんお断り」の敷居の高いテーマを、世界中すべての観客に向けて門戸を開いた作品が果たしてこれまで存在しただろうか。


 スパイダーマン:スパイダーバース
SPIDER-MAN: INTO THE SPIDER-VERSE

「スパイダーマンは1人じゃない」彼らのアンサンブル劇は、(依然としてコアファンに向けたお楽しみ演出も忘れないながら、)大胆に見えながらも極めて慎重に運ばれている。その検討プロセスには、ファンに向けた大胆なサプライズに固執するあまり、慎重さを失いかけた瞬間もあったようだ。何でも、これまでの『スパイダーマン』実写映画でピーター・パーカーを演じてきた俳優、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、そして現役のトム・ホランドを一気に登場させるシーンが検討されていたのだという。

実写スパイディ全員集合

スパイダーマン:ホームカミング
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オーケイ!じゃぁもう一度だけ説明するね?『スパイダーマン:スパイダーバース』には、これまでの実写版ピーター・パーカーを演じてきた3人の俳優が共演するアイデアがあったらしいのだ。驚きのエピソードを語ったのは、本作で共同監督と脚本を務めたロドニー・ロスマン。Podcast番組「The Q&A with Jeff Goldsmith」に登場したロドニーは、次のように明かしている。

トム・ホランドとアンドリュー・ガーフィールドとトビー・マグワイアが一堂に会するシーンを書いたんですよ。こだわるつもりはなかったんだけど、書いちゃった。不安はたくさんありましたよ。そもそも本作には様々な不安がつきまとっていた。お客さんを混乱させるんじゃないかという不安です。

マーベル・シネマティック・ユニバースで活躍するトム・ホランドに、現在のアメコミ映画ブームの先駆けとなったサム・ライミ監督による『スパイダーマン』三部作のトビー・マグワイア、そして今なお根強い人気を誇る『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールドが一堂に会するシーンが実現すれば、ファンにとっては天地がひっくり返るほど興奮の瞬間となっただろう。実際には実現できなかったが、その判断に重視されたのは「お客さんを混乱させるんじゃないかという不安」だった。もともとメタ的なコンセプトの強い『スパイダーマン:スパイダーバース』にとって、過剰な複雑化はご法度だったのだ。同様の理由で、実はもうひとつ見送られていた「夢のキャスティング」があった。

トビー・マグワイア、中年ピーター演じる案も

『スパイダーマン:スパイダーバース』の物語の核は、スパイダーマンとしてまだ未熟者のマイルス・モラレスと、別世界で堕落的な生活を送る中年ピーター・パーカーの師弟関係。戦いを共にする中で、マイルスと中年ピーターは互いから自信を学び合う。

『スパイダーマン2』ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)
© Sony Pictures 写真:ゼータイメージ

実は、この中年ピーター・パーカーの声優にライミ版『スパイダーマン』のトビー・マグワイアを起用する案があったという。映画ではあどけない学生を演じていたトビーだが、その第1作目とて今や(驚くべきことに)17、18年前の過去(『スパイダーマン』は2001年の公開だ)。1975年生まれのトビー・マグワイアは、今や40代も中盤に差し掛かっている。まさに「中年の危機」にあるトビーは、すっかりくたびれた中年ピーター・パーカー役としても違和感ない。かつて世界中の少年少女に夢と勇気を与え、現在に続くアメコミ映画ブームの礎を築いたと言っても過言ではないトビーが、次世代のスパイダーマンを導く…、なんと熱いキャスティングだろうか。

(トビーをキャスティングするアイデアは)実際にありましたよ。」ロドニーは、米ScreenCrushのインタビューでこう語っている。

「トビー・マグワイアやその他の皆さんを起用しようかという検討はたくさんありました。そうすればさらに注目を集められたかもしれない。でも映画公開前の段階で、『スパイダーバース』の概念を観客に披露するにあたっては、ちょっと分かりにくくなっちゃうんじゃないかという懸念があって。でも、もし実現していたら楽しそうですよね。」

やはりこのポイントにおいても、映画に過剰なメタ要素を取り入れての複雑化を避けようという意図が見られる。そもそも一般的には、『スパイダーマン』の実写キャストが既に3種類ある背景や理由が浸透しているかと言われれば怪しいし、そのキャストらが新たなアニメ映画に登場するんだと言われれば、間違いなく混乱を招くだろう。

ここで見送られていたアイデアを見る限り、『スパイダーマン:スパイダーバース』は相当ギリギリのラインを攻めていたことがわかる。過去作への明らかなオマージュが展開されていたことは、鑑賞されたファンならニヤリを頷いて頂けることだろう。こうしたシーンは、以下の記事で紐解いているのであわせてお楽しみいただきたい。

ライミ版の影響はこんなにも!

Source:The Q&A with Jeff Goldsmith,ScreenCrush

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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