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『スパイダーマン:ホームカミング』予告編の「あのシーン」本編に存在しないのはなぜ?監督が真相を語る

ハリウッドの大作映画には、しばしば“予告編にあった映像が本編に存在しない”という現象が起こる。とりわけ記憶に新しい例は、ジャレッド・レト扮するジョーカーの出番が大幅カットされたと話題になった『スーサイド・スクワッド』(2016)や、本編の大部分を再撮影・再編集した『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)だろうか。

2017年8月11日に公開された映画『スパイダーマン:ホームカミング』も、実はその現象が起きてしまった作品のひとつだ。幸い予告編に使用された映像のほとんどが本編に登場するが、いくつかの印象的なショットは残念ながら本編から省かれてしまった……。

本作を手がけたジョン・ワッツ監督は、なぜ予告編の印象的な映像が本編に存在しないのか、その理由を明確に語っている。まずは復習を兼ねて、予告編にどんな映像が使われていたかを再度確かめてみてほしい。

【注意】

この記事には、映画『スパイダーマン:ホームカミング』のネタバレが含まれています。

①舞い降りるバルチャー

ひとつめは上の予告編の1分10秒ごろに現れる、バルチャーがカメラに向かって舞い降りてくるショットだ。バルチャーの恐ろしさを象徴する印象的な映像だが、このショットは本編に登場しない。
SCREENCRUSHのインタビューで、ワッツ監督はこのショットの背景が「ホテルの吹き抜け」だとした上で、この映像が本編に存在しなかった理由をこう説明している。

「ホテルの吹き抜けのショットは、もともとコミコンのために作ったものでした。(本編を)撮りはじめる前のプロモーションビデオみたいなもので、2週間くらいで撮ったんですよ。映画のための映像じゃなかったんです。でも、あのアングルは映画で初めてバルチャーが登場するときに使いました。バルチャーがカメラの前で静止して急降下するんです。ショットは使いましたが、ホテルの吹き抜けではありませんでしたね。」

すなわちワッツ監督は、事前に作っておいた映像のアングルを本編に採用したというわけだ。どんなふうに本編で使われていたか、思い出せない人はぜひ劇場でもう一度確かめてほしい。

②スパイダーマンとアイアンマン、並んで飛ぶ

これぞマーベル・シネマティック・ユニバースに合流したスパイダーマン!ともいうべき、『スパイダーマン:ホームカミング』という作品を一目で完璧に説明してしまうショットもなんと本編には存在しなかった。ニューヨークの街をスパイダーマンとアイアンマンが並んで飛ぶという映像である。上映終了後にすぐ気づいた人も少なくないはずだ。

スパイダーマン:ホームカミング
©Marvel Studios 2017. ©2017 CTMG. All Rights Reserved.

しかし冷静になってみると、このショットが本編で挟まる余地はなかっただろう。本編のストーリーで何が起こると、スパイダーマンとアイアンマンが並んでニューヨークを飛ぶことになるのか……。その想像はおおよそ正しい。ワッツ監督いわく、このショットは製作サイドから求められて作ったものだというのだ。

「一番最初の予告編で、スパイダーマンとアイアンマンが一緒に飛んでいるショットを求められました。スタテン島のフェリーのシーンから映像を使うつもりだったんですが、見た目がすごく良いわけじゃなかったんですね。背景のプレートが……スタテン島のターミナルはすごくシンプルな(デザインの)建物なので、未完成のCGみたいに見えてしまったんです。そこで、“クイーンズに彼らを出そう。背景(の映像)を使えばいい”と思いました。新しいショットを丸ごと作れなかったので、電車からのショットを使って、そこに彼らを入れたんです。」

インタビューの中で、ワッツ監督はこのショットを「作ったのを忘れてたよ」とすら話している。つまりこちらは予告編のためだけに、違う目的で撮影された映像をうまく活かして作られたものなのだ。

すなわち予告編に存在したこれら2つの印象的な映像は、“本編から省かれてしまった”というよりも、“もともと本編に入れようがなかったものを予告編に使っていた”と説明するほうが正しい。しかし『スパイダーマン:ホームカミング』では、トニー・スターク/アイアンマンの登場を“メンター”としての出番のみに絞ったことが功を奏した面もあろう。共同してのアクションシーンを無理に作らなかったことは、予告編で期待感を煽ったこととは裏腹に、作品にとっては非常に真っ当な選択だったといえそうだ。

映画『スパイダーマン:ホームカミング』は2017年8月11日より全国の映画館にて公開中

Source: http://screencrush.com/jon-watts-spider-man-homecoming-interview/
©Marvel Studios 2017. ©2017 CTMG. All Rights Reserved.

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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