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内閣初、ハリウッド映画をロケ誘致『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』発表 ─ 日本撮影の制度改善を政府として

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』製作発表会見

2020年、日本に新たな風が吹きそうだ。

アクションフィギュアをもとにした映画「G.I.ジョー」シリーズの最新作が、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』のタイトルで2020年に公開されることが発表され、日本各地でロケ撮影を行うことが明らかになった。2020年1月10日、東京都・日枝神社で製作発表会が実施。スネークアイズ役のヘンリー・ゴールディング、ハードマスター役のイコ・ウワイスらが来日、および日本の出演者・製作陣が集結した。

日本はハリウッド映画のロケ招致ができない」と叫ばれて久しいが、この作品は内閣府が初めて実施する外国映像作品ロケ誘致に関する実証調査の対象作品として採択されている。日本各地でロケ撮影される作品としては、ハリウッド映画史上最大規模。この発表会では、そのロケ地の一部も発表となった。

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』製作発表会見

本作エグゼクティブ・プロデューサーのエリク・ハウサムは本作で描かれるスネークアイズというキャラクターについて、「日本なくして語れない、コミック史上象徴的なキャラクター」と紹介する。「彼の歴史はこれまで映画では語られたことがありません。いつもマスクを被っていて、声も聞いたことがない。この映画では、彼の正体、いかにしてヒーローになったかのオリジン・ストーリーが語られます。」

これを演じるのは『クレイジー・リッチ!』(2018)『ラスト・クリスマス』(2019)のヘンリー・ゴールディング。孤独なキャラクターで、日本の古代一族「嵐影」の一員として忍者の道を歩む。映画では、彼の歴史や忠誠が壮大なアクションとスリルと共に語られるという。

少年時代、祖父に黒澤明『七人の侍』(1954)を観せてもらって以来、同作が大のお気に入りだと語るエリクは、「こうして黒澤明の国、日本にやってきて、同じ地で映画が撮れる日が来るなんて」と感慨深い様子。「『スネークアイズ』の物語は、日本の文化、土地、伝統に直結しています。素晴らしいお城やお寺で、アクションやスタントを撮影します。」

本作はこれより「日本の映画業界の援助」を受けながら、日本各地で数ヶ月に渡って主要撮影を行う。「姫路、大阪、茨城で撮影します。日本政府の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。皆様のご支援なくては、日本での撮影は実現しませんでした。私達は映画製作のために世界中を旅していますが、ここ日本で得られるご支援は、過去最高のものです。」

内閣、ロケ誘致に関する反省活かす

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』製作発表会見

内閣府副大臣でクールジャパン製作を担当する平将明は「ご承知の通り、海外で人気のある作品が世界で公開されると、それをきっかけに“行ってみよう”ということで、インバウンド、観光客が増える。ロケをすることで地域のエンタメに関わる人材が育ち、産業が生まれるという様々な経済効果があります」と説明する。平氏は次のように語った。

「人気のある作品(のロケ誘致)は世界中で取り合いになっているのが現状。補助金が出たり、税金のインセンティブがあったりするんですが、ともすると日本は、製作者の皆さんからは“是非日本で”というお声を頂くんですけれども、そういうインセンティブがなかったり。また、規制、許認可のところが大変煩雑だったりしてですね。日本でやりたいという希望を頂いたにも関わらず、他の国に取られてしまうということが、今までままありました。

そういう反省の中から、内閣府のクールジャパンとしてのロケ誘致実証調査の事業ということで、支援をさせて頂くことになりました。製作の一部を支援すると同時に、実際にこれから日本各地で撮影してみて、こういうところが日本は素晴らしかった、という所とあわせて、日本のこういうところを改善してほしい、──特に行政サイド、政府、自治体、道路使用許可、警察、消防とか色々あるんだと思います── そういった情報をしっかり頂いて、環境改善をしていきたい。海外のロケ誘致に負けないように、様々なインセンティブの制度や、許認可の取りやすい仕組みづくりを、日本全体で、政府全体で行っていきたい。

今回の『スネークアイズ』は、主人公が日本にルーツを持つ物語ということで、我々の実証調査プロジェクトの第一弾として相応しい作品を選ばさせて頂きました。撮影が順調に進み、この作品が大ヒットすることを願いまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」

ヘンリー・ゴールディング、イコ・ウワイスら日本上陸

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』製作発表会見

続けて会見には、ロベルト・シュベンケ(監督)、ヘンリー・ゴールディング(スネークアイズ役)、平岳大(ケンタ役)、安部春香(アキコ役)、小路アンドリュー(ストームシャドー役)、谷垣健治(スタントコーディネーター/アクション監督)が登壇。ロベルト監督は「私は生涯通じて日本映画のファンでした。ここ日本全土でロケ撮影ができることは大変光栄です」と語った。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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