キアヌ・リーブス、『スピード』脚本家も救っていた ─ SWATを自らリサーチして助言

『スピード』(1994)はエレベーター、バス、電車という動く密室を舞台にした新機軸のソリッドシチュエーションスリラーとして高く評価され、主演のキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックがトップスターとして大きく羽ばたくきっかけとなった。『アベンジャーズ』シリーズや『ジャスティス・リーグ』(2017)の監督・脚本を手がけ、『スピード』で脚本のリライトを担当したことでも知られるジョス・ウェドンによると、キアヌによるシンプルな一言が、キアヌ演じる主人公ジャックのキャラクターを考える大きなヒントになったという。米Podcast番組「50 MPH」で明かしている。
『スピード』はデニス・ホッパー演じるテロリストとジャックが率いるロサンゼルス市警察SWATの攻防が緊張感をもたらすアクション・スリラー。速度が50マイル毎時(約80km/h)以下になるとバスが爆発するとテロリストから宣告を受け、ジャックたちは次々と危機へと立ち向かっていく。当時、グレアム・ヨストによる脚本を見直していたウェドンは、キアヌが実際にSWATのメンバーと交流を図っていた姿を目の当たりにしていた。キアヌは役作りへのリサーチを進め、実際の隊員たちがいかなる時も非常に礼儀正しいと強調していたそうだ。
「隊員たちはその場を落ち着かせようと、全ての人を‘sir もしくは ‘ma’am.’と呼ぶのだと私に聞かせてくれました。そこでピンときましたね。このキャラクターが理解できたぞ、と。私の見解は、ジャックというキャラクターはやり手タイプではなく、常識や前提にとらわれない独創的な思考の持ち主なんだ、ということでした。彼は正しいと感じたことに対してちょっと変わったアプローチをとる人ですが、とにかく、それが良い結果をもたらすんですよ。
‘sir もしくは ‘ma’am.’呼びというのが、大きなヒントになりました。というのもアクション映画においては、荒っぽくて威張っているタイプがその時代の主流で、(キアヌが接したSWATメンバーたちは)その真逆だったからです。キアヌは『銃を抜くのは嫌だな』とも言っていましたね。私は『僕もそうさせたくないけど……しなくてはいけないんじゃないかな。スタジオが君に銃を抜かなくていいとは言ってくれないだろうから』って話しました。」
確かにジャックは真摯に任務に向き合いながらも、決して熱血漢タイプではなく、どこか冷めた一面を持つ人物。規範に囚われない柔軟さが、窮地を切り抜けるきっかけともなる。SWATメンバーの‘sir 、‘ma’am.’呼びに感銘を受けるというのも数多の聖人エピソードで知られるキアヌらしさを感じるエピソードだ。
ちなみに、ウェドンはザック・スナイダーから監督を引き継いだ『ジャスティス・リーグ』の現場にて不適切な行動が問題視され、ガル・ガドットとレイ・フィッシャーから告発を受けた後、しばらく表舞台から遠ざかっていた。本Podcast番組出演が久しぶりの公の場となったようだ。
Source:50 MPH