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スティーブン・スピルバーグ、新作ホラードラマの脚本を執筆へ ─ 真夜中にしか観られない、モバイル限定コンテンツ

スティーヴン・スピルバーグ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/36150879236/

巨匠スティーブン・スピルバーグが、盟友の映画プロデューサーであるジェフリー・カッツェンバーグ氏による米国の新たな映像配信サービス「Quibi」のために新作ホラーシリーズ「スピルバーグズ・アフター・ダーク(原題:Spielberg’s After Dark)」を手がけることがわかった。米Varietyなどが報じている。

「Quibi」というサービス名は“Quick Bite(手短な食事の意)”の略で、その名の通り、7~10分程度の映像作品を中心とする、モバイル向けの映像配信サービス。コンテンツは本サービスのために製作され、ギレルモ・デル・トロやサム・ライミがホラー作品のプロデュースを手がけるほか、『イコライザー』シリーズのアントワーン・フークア監督も新作ドラマ「#Freerayshawn(原題)」を発表する。

「アフター・ダーク」は全10章あるいは全12章で構成される予定で、そのうち5~6エピソードの脚本をスピルバーグが執筆。カッツェンバーグ氏いわく、スピルバーグは高いモチベーションで創作に取り組んでおり、「自分で書きたい怖い話がある」と宣言していたとのこと。スピルバーグが自ら脚本を執筆するのは『A.I.』(2001)以来となる。

スピルバーグといえば、キャリア初期に『恐怖の館』(1972)を手がけ、プロデューサーとして『ポルターガイスト』(1982)に参加したほか、意外にも本格ホラー作品にはほとんど携わっていない。しかし『ジョーズ』(1975)といい『ジュラシック・パーク』シリーズといい、あらゆるジャンルでホラー/スリラー的な表現を繰り返して観客を震え上がらせてきたのがスピルバーグである。『レディ・プレイヤー1』(2018)で『シャイニング』(1980)の完全コピーに挑戦していたのも記憶に新しい。

そんな恐怖へのこだわりが強いスピルバーグたっての希望で、なんと「アフター・ダーク」は真夜中にしか観られないコンテンツになるとのこと。地域別にスマートフォンなど端末の時刻を取得し、深夜の一定時間のみコンテンツが出現し、時間外には消滅してしまう仕様だというのだ。

これまでスピルバーグは、Netflixをはじめとするストリーミング・サービスが製作・配信する映画作品について「映画ではなくドラマ」との認識を崩さず、映画である以上は映画館で鑑賞する体験が必須であると主張してきた。「アフター・ダーク」の“真夜中にしか観られない、真夜中であればどこでも観られる”というコンセプトは、いわば映像配信サービスならではの体験をユーザーに提供するものだ。“体験主義”のスピルバーグとしては、本作は一連の議論に対するアンサーになっているのかもしれない。

ドラマ「スピルバーグズ・アフター・ダーク(原題:Spielberg’s After Dark)」の配信時期は不明。新映像配信サービス「Quibi」は2020年4月6日に米国にてサービスが開始される(日本国内でのサービス開始は不明)。

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Sources: Variety, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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