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【考察】スパイダーマンはなぜ戦い続けてしまうのか ─ 『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』 予告編に滲む暴力性

スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ
MARVEL and all related character names: (C) & TM 2026 MARVEL

2026年7月31日(金)に日米同時公開される『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』。世界解禁されたばかりの初予告編では、ニューヨークを脅かすストリートレベルのヴィランが描かれており、その戦いにはスパイダーマンの“暴力性”が滲む。

果たして『ブランド・ニュー・デイ』では、“親愛なる隣人”のいかなる戦いが描かれるのか。この度の映像から予想される展開を考えてみよう。

ストリートレベルのヴィランの増加

前作『ノー・ウェイ・ホーム』(2021)のラストで存在を消したピーター・パーカーは、その後4年間、孤独な戦いを続けてきた。

解禁された予告編には、数多くのヴィランたちが登場する。それはサノスのような強大な宇宙レベルのヴィランではなく、ストリートレベルのヴィランが中心だ。トム・ホランド演じるMCU版スパイダーマン第1作『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)で逮捕されたマック・カーガンもその一人だ。

マック・カーガンは『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』予告編で機械の尻尾とバトルアーマーを装備したヴィラン“スコーピオン”となり、スパイダーマンと激闘を繰り広げている。他にブーメランを投げているのは文字通り“ブーメラン”というヴィランで、戦いの構図は『アメイジング・スパイダーマン #345』のオマージュとなっている。

船を占拠しているのはブーツに刃を仕込んだタランチュラというヴィランで、戦っている構図はこちらも『アメイジング・スパイダーマン #134』のオマージュだ。他にも邪教忍者集団ヤミノテ(ザ・ハンド)など、数多くのストリートレベルのヴィランが登場している。

ここまでコミックの表紙のオマージュという演出が続いた例に『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(2025)があり、そこではこれまでの活躍の回想シーンとして使用していた。もし、これらのヴィランとの戦いがピーター・パーカーの4年間の回想だとすれば、彼はどれほどの数のヴィランと、激戦を繰り広げてきたのだろうか。

スパイダーマンが持つ暴力性

スパイダーマン/ピーター・パーカーはストリートレベルのヒーローである。しかし、彼の本当の実力はヒーローの中でもトップレベルで、あの怒れる超人ハルクと殴り合えるパワーを秘めていると言われている。

事実、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)では、ウィンター・ソルジャーと呼ばれ恐れられていたバッキー・バーンズの鋼の義手を軽々と片手で受け止めている。さらには『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)ではサノスの配下、ブラック・オーダーの巨漢カル・オブシディアンと殴り合っている。

このことからもわかる通り、普段のスパイダーマンは人を簡単に殺めてしまうパワーを抑え込み、ヴィランたちを気遣って戦っている。しかし、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)では「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのアンドリュー・ガーフィールド演じるスパイダーマン(ピーター3)が愛するグウェン・ステイシーの死後、怒りをコントロールできず、暴力性が増大してしまったことを語っている。

MCU版スパイダーマンはアベンジャーズの仲間から忘れ去られ、ピーター・パーカーとしてのアイデンティティすら失った。さらに親友ネッドや恋人MJ、そしてメイおばさんもいない。その孤独から怒りや暴力性がコントロールできなくなっていった恐れがある。

そのシンボルが、ストリートレベルのヴィランと一人で戦い続けてきた映像なのではないだろうか。これまでのスパイダーマンは、決して“暴力的なヒーロー”ではなかった。しかし、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』では孤独により、親愛なる隣人であるはずのスパイダーマンが振るう拳に、際限が無くなっていく様子が描かれるのではないだろうか。

Writer

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鯨ヶ岬勇士

アニメ・特撮・洋画を中心に、作品の魅力とその背景にある社会性を横断的に読み解くカルチャーライター。Web媒体のほか、雑誌・ムック本などにも寄稿。作品分析を軸にした評論を執筆している。

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