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『スター・トレック』幻のクリス・ヘムズワース&クリス・パイン復帰企画、アイデアの詳細が判明

クリス・パイン クリス・ヘムズワース
All Photo by Gage Skidmore [左]https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/43043463084/ [右]https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/36201779166/ Remixed by THE RIVER

J・J・エイブラムス製作『スター・トレック』映画シリーズより、“幻の第4作”の詳細が明らかになった。ジェームズ・T・カーク役のクリス・パイン、『スター・トレック』(2009)に登場した父ジョージ・カーク役のクリス・ヘムズワースが復帰するとして、2016年頃から企画が進められていたものだ。

残念ながら、“Wクリス”が共演する第4作のアイデアは、2018年に両者の出演交渉が決裂に終わったことからお蔵入りとなっている。原因は出演料ゆえとも言われたが、のちにヘムズワースは脚本に納得できなかったためだとコメント。当時執筆にあたっていたのは、いまや「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」(2022)の脚本・製作総指揮を務めるパトリック・マッケイ&J・D・ペインだった。

当時ふたりは、ノンクレジットで参加した『スター・トレック BEYOND』(2016)に続いて第4作の脚本も担当する予定だった。米Esquireにて、マッケイは「父と息子が同い年だったら、というアイデアでした。宇宙版『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1987)のような、父と息子の壮大な冒険を描くつもりだったんです」と語っている。「オリジナルの悪役もいたし、『2001年宇宙の旅』風のクールなSFアイデアが根底にありました」。

ペインが言及したのは、「新スタートレック」(1987-1994)の第130話『エンタープライズの面影』だ。このエピソードではエンタープライズ号の面々が、宇宙を漂流していたチャーリー・スコット大佐に出会う。なんとスコットは数十年もの間、転送装置のバッファに保存されていたのだ。第4作のアイデアは、まさにこの回に着想を得たものだったのである。

2009年『スター・トレック』の冒頭では、ケルヴィン号が敵の襲撃を受ける中、ジョージ・カークが船長の座を継承する。ジョージは出産間際の妻とお腹の中の子どもをシャトルに逃がすと、家族を守るため単身で巨大船に突入するのだ。息子のジェームズが産まれ、その泣き声を聞いた後、ジョージは敵艦に衝突してこの世を去る。

これらの設定を活かして、マッケイ&ペインは第4作のために独自のアイデアを考案していた。ペインは当時の構想をこう語る。

「もしもケルヴィン号が衝突する直前、ジョージ・カークが自らを、妻と産まれたばかりの息子の乗るシャトルに転送していたら? もしもケルヴィン号が完全に破壊されておらず、宇宙ごみとして漂っていたら? メールをうまく送信できないのと同じように、ジョージが転送装置のパターン・バッファに詰まっていて、向こう側に届いていなかったら? そして、コンピュータの中にジョージのコピーが残っていたら……という設定だったんです。」

そしてマッケイによると、ジェームズたちエンタープライズ号のクルーは「とある謎と新しい悪役によって」ケルヴィン号の残骸を発見し、“転送されなかった”父親を転送し直すのだという。父であるジョージは年月の経過に気づかないまま息子と出会い、ふたりは冒険を始める……という筋立てだったようだ。

当時、マッケイ&ペインは約2年半にわたって企画に携わっており、「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」でもタッグを組んでいるリンジー・ウェバー、監督を務める予定だった「ある告発の解剖」(2022)のS・J・クラークソンとともに作業を進めていたという。「結局だめになってしまって、本当につらかった」というマッケイだが、今ではこの出来事も「力の指輪」に至る道のりのひとつとして捉えているようだ。

「“ビッグタイトルと映画スターでは、僕たちみんなが素晴らしいものになると思っていたストーリーでもまとまらないことがあるんだな”と思ったんです。大作映画に対する風向きが変わってきたとも感じていて、テレビに取り組むことを真剣に考え始めたことが『力の指輪』に繋がりました。けれど、あの映画は作りたかったですね。」

なお『スター・トレック』第4作はその後も実現しておらず、一時はクエンティン・タランティーノやノア・ホーリーがそれぞれ脚本を進めていたが、どちらも製作には至らなかった。2022年2月には「ワンダヴィジョン」(2021)のマット・シャックマンが監督に就任し、主要キャストが復帰しての第4作が本格的に動き始めていたが、8月にシャックマンが離脱したことで公開予定も撤回されている。パラマウント・ピクチャーズは、新監督が決まりしだい再び企画を始動させる構えだ。

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Source: Esquire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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