【何コレなごむ】『スター・ウォーズ』フィギュアで制作された写真アートに漂う、コミカルで奇妙な生活感

ぼくが『スター・ウォーズ』の3.75インチ版アクション・フィギュアを集めていたのは、もうはるか昔、それこそまさに「a long time ago in a galaxy far, far away…」と言えるくらい昔のことである。

その頃は『スター・ウォーズ』に限らず、映画に関連するアメリカン・トイに結構な無駄遣いをしていたのだが、ふとある時、こんなものキリがないよな……とブッダのごとく悟り、玩具の収集をピタリと止めてしまった。今考えるとあれは完全に蒐集癖という病であり、今でも時々発作のごとく玩具欲なるものが急に疼くこともあるが、再発には至っていない。

ぼくの基本的な蒐集スタイルは、フィギュア自体をブリスターや箱から出さず、コレクションとして棚や壁に飾るというものだった。部屋をアメリカの“オモチャ屋”のようにしたいという願望もあり、実際にそうなっていたので、部屋を訪れる友人知人にはいろいろな意味で感嘆の声を上げる人も少なくなかった。いつかこのフィギュアをすべて引きずり出して、ストップモーションのアニメでも制作しようと思い、少しだけテスト的なことをやりだした時期もあったのだが……。

今回はそんなふうにして、実際に『スター・ウォーズ』のアクション・フィギュアでアート作品を制作している人物を取り上げてみたいと思う。

“The Little People”

スコットランドとロンドンを拠点に活動する写真家のデヴィッド・ギリバー(David Giliver)さんは、もともと夜間での長時間露光を利用した「ライトペインティング」の写真家として作品を制作していたようなのだが、近年新たな作品制作のテーマを見出している。

それは“The Little People”と名付けた一連の作品群で、要するに小さな人形を使って小さな世界の風景を構築し、その物語性を写真のフレームに収めて作品にする、といったものである。そしてその中に、ぼくも蒐集していたあの『スター・ウォーズ』のフィギュアを使用したシリーズが存在する。

さっそく、その作品のいくつかをご覧いただこう。

これは金曜日の夜の一幕だそうである。一連の『スター・ウォーズ』的リトル・ピープルの世界観では、AT-ATやAT-STが、ペットや赤ん坊、子供のように扱われる存在として描かれている。フィギュアの動きの付け方が絶妙だが、ぼくの知っている3.75インチ版のフィギュアはここまで手足が稼働しないはずなので、カスタマイズしているのだろうか、それとも近年新しくリリースされているフィギュアはけっこう動くのかな……。

That Friday feeling

 

こちらは完全に動物ではなく赤ん坊のようだが・・・、AT-ATやAT-STがやけに可愛く見えてしまうところがおもしろい。

In the nursery

 

サンドトルーパーが海岸で砂遊びに夢中。やけにファンシーな道具を使っているけれど……、これは子供かな?

As happy as a Sandtrooper at the beach

 

ペット感が半端ない。枝を投げると拾ってくるんだね、このAT-ATはよく躾されている。

FETCH! (IV)

 

乗ってる! これはペットじゃなくて家畜のAT-ATかな、でもちょっと楽しげだなあ。

The walk back from work

 

よく意味の分からないシチュエーションだが、アルミホイルでくるんで何やってんだか……イジメられているのかな。

Very funny Steve...

 

最後はやはりこの人、ダース・ベイダー。これもシュールな風景、ペットに視力検査、で”I am your father.”か。

I AM YOUR FATHER

というわけで、デヴィッドさんはこうした作品を作り続けている。彼のウェブサイトflickrでは、ほかにも『スター・ウォーズ』的リトル・ピープルな作品を堪能できるので、興味のある方は訪れてみていただきたい。もちろん彼が制作した別の作品も鑑賞することができる。

ところで作品を見ていくと、なんだかストーム・トルーパーとダース・ベイダーがよくチョイスされている気がする。単にデヴィッドさんが帝国のファンなのかもしれないが、もしかして、主要キャラクターのフィギュアを使用するよりも、ストーム・トルーパーのような匿名性の高い存在のほうが、制作する側も、また鑑賞する側も、物語を想像する幅が広がるという意図があるのだろうか。とはいえダース・ベイダーは圧倒的に主要なキャラクターなのだが、漆黒のボディースーツにマスクという出で立ちには、ある意味で想像を詰め込みやすいのかもしれない。

ちなみに僕が蒐集していた膨大な数のフィギュアたちは、現在手元にはなく、銀河の果てほどの場所で、玩具には知識も興味もない人間によって管理されている。デヴィッドさんの作品を観て思ったけれど、ぼくも今まで集めたフィギュアたちをただ眠らせておくのはもったいないなあ、手元に取り寄せてアートとして活用しよう……。そんなことも頭をよぎった、冬の日の夕暮れであった。

Eyecatch Image: https://www.flickr.com/photos/davidgilliver/15249629486/

About the author

普段はあまり摂取しないコーヒーとドーナツを、無駄に欲してしまう今日この頃。You know, this is - excuse me - a damn fine cup of coffee.

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