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アメコミ映画の暴力描写は「ポルノのよう」とスティーヴン・キング ─ 「街がぶち壊されるのに、血の一滴も流れないとは」

スティーヴン・キング
CC BY 3.0 | Porter Square Books https://www.youtube.com/watch?v=3UjQPXQ7TKU

“ホラーの帝王”と呼ばれる巨匠スティーヴン・キングが、スーパーヒーロー映画の暴力描写を「ポルノのよう」だと批判した。

このたび、キングは“リチャード・バックマン”の名で執筆した初の小説作品『死のロングウォーク』の映画版『The Long Walk(原題)』の公開にあたり、英The Timesのインタビューに登場。スーパーヒーロー映画のアクションや暴力に対する率直な意見を語った。

「スーパーヒーロー映画を観ると、街を丸ごとぶち壊すスーパーヴィランは登場するのに、血の一滴も流れない。それは間違いだと思う。ほとんどポルノのようなものだ。」

『死のロングウォーク』は、10代の少年たちが年に一度開催される「ロング・ウォーク」という競技に参加し、“一定の歩行速度を維持しなければ射殺される”という条件のもとで優勝者を争うサバイバル・スリラー。映画版では『ハンガー・ゲーム』シリーズのフランシス・ローレンスが監督を務め、『ストレンジ・ダーリン』(2023、日2025)のJ・T・モルナーが脚本を執筆した。

本作の映画化にあたってキングが求めたのが、まさに“少年たちが射殺される様子を見せること”だった。「彼らは戦争に巻き込まれる子どもたちのようなもの」といい、スタジオ側には「それを見せられないならやめたほうがいい」と提案したという。「だから彼らは、とても残酷な映画を作ったのです」。

キングが指摘するように、多くのスーパーヒーロー映画はファミリー層をターゲットに含む形で製作されている。例外にはマーベル映画『デッドプール』シリーズやDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)などがあり、『デッドプール&ウルヴァリン』(2023)は全世界興行収入13億ドルを超える大ヒットとなった。

スーパーヒーロー映画における血の流れない暴力描写を「ポルノのよう」と形容したキングの真意はわからない。もっとも、キングが以前から「スーパーヒーロー映画にあまり興味はない」との姿勢を明かしていることは考慮しておくべきだろう。ちなみに、近年の作品でお気に入りだったのはDC映画『ザ・フラッシュ』(2023)だという。

Source: The Times

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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