リメイク版『サスペリア』監督、続編製作に意欲示す ─ タイトルが『サスペリア:パート1』になる可能性があった

ダリオ・アルジェント監督による傑作ホラー映画『サスペリア』(1977)は、のちに『インフェルノ』(1980)『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(2007)へと続く「魔女3部作」の第1作である。その誕生から40年以上を経て製作された、リメイク版『サスペリア』のルカ・グァダニーノ監督も、巨匠と同じく続編を作ることへの意欲を抱いているようだ。
この記事では、リメイク版『サスペリア』の内容に言及しています。

リメイク版『サスペリア』が米国公開を迎えた2018年夏から秋にかけて、グァダニーノ監督は続編の可能性や意欲を断続的に語ってきた。米Deadlineのインタビューでは、そもそもタイトルの時点で続編の存在を匂わせる計画があったことすら明かしているのだ。
「最初は『サスペリア:パート1』というタイトルにするつもりでした。ですが、単独の映画ではないという印象を与えたくはなかった。正直に言うと、マダム・ブランやヘレナ・マルコスの起源、スージー・バニヨンのその後を描くことに興味はあります。」
また米The Playlistにて、グァダニーノ監督は『サスペリア』という作品について「必ずしも(時間的に)前進すべき映画ではないと思います」と述べている。具体的なイメージを挙げて、監督は前日譚を描くことへの興味をはっきりと示しているのだ。
「(続編などを製作するなら)ただ未来へと向かうだけではなく、あらゆる時間を扱うほうが良い作品になりうるでしょう。こういうイメージがあります。1212年のスコットランドかスペインに、ヘレナ・マルコスが独りでいる。彼女はとある村をさまよっていて、その村にいる女性たちを操る方法を見つけ出そうとしている、そんなイメージが。この映画(リメイク版『サスペリア』)の物語の600年、700年前から彼女が存在したことはわかっていますから。」

発想の源泉は、すべて自身の手がけたリメイク版『サスペリア』にあるようだ。グァダニーノ監督は脚本を執筆したデヴィッド・カイガニックに対して「創造の余地が大きなものを作ってくれた」との賛辞を贈っている。
「この映画は、複数の時間や空間におけるひとつの層(レイヤー)なんです。パトリシア(クロエ・グレース・モレッツ)が、サラ(ミア・ゴス)に“彼女は私に見せてくれる(She shows me things.)”と話す場面がありますね。何を、どんなものを見ているのか。彼女とは誰なのか。パトリシアは何を言っているんでしょうか?」
こうした余白は、すでに完成した『サスペリア』の中にも織り込まれている。物語が終わった後、エンドロールの終盤には、雪の降るベルリンでスージー・バニヨンが立っている姿が唐突に映し出されるのだ。この場面について、監督は「彼女は世界を見ている、未来を見ているんです」と述べている。この短いショットは、映画で描かれたことの未来、さらなる物語を示唆したいとの意図で用意されたものだそうだ。
しかしながら実際のところ、グァダニーノ監督が『サスペリア』の続編や前日譚を製作するかどうかはわからない。監督いわく、もしも作られるならば「もちろん、魔女を描く作品になります」ということだ。美しく、かつ残酷に幕を閉じたリメイク版に続きが必要かどうか、それは観客の一人一人によって意見が分かれるところであろう。もし本当に製作されるなら、観たい、観たくない…?
映画『サスペリア』は2019年1月25日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国の映画館で公開中。
『サスペリア』公式サイト:https://gaga.ne.jp/suspiria/
Sources: Deadline, The Playlist