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美しくも残酷!本当はエグいおとぎ話『五日物語-3つの王国と3人の女-』レビュー

“昔々あるところに、きれいなお姫様が住んでいました。毒入りリンゴを食べさせられたり、意地悪な継母にいじめられたり、野獣と住むはめになったりと色々な目にあったお姫様たちでしたが その優しく純粋な心とかっこいい王子様のおかげで、皆幸せに暮らしました。”

ファンタジーといえば、これが一般的なイメージされる物語ですよね。しかし有名ファンタジーの元となっている童話は、結構グロテスクで残酷な物語だということをご存知でしょうか?
例えば「白雪姫」。ディズニー映画では無事に白雪姫が王子様と結婚し、めでたしめでたし!で終了なのですが 原作には「婚礼の場で魔女に焼けた靴を履かせ、死ぬまで踊らせる」というとんでもない結末があるのです。

長い魔法の髪の毛を持つ、塔の上に住むラプンツェル。原作では好きになった男と駆け落ちしようとしたり、毎晩違い男が塔に連れ込まれてきたり、妊娠したりとかなりアダルティな内容。

そんなかなり怖い昔のおとぎ話。11月25日に公開される映画「五日物語-3つの王国と3人の女-」もまた、17世紀に生み出された世界最初のおとぎ話「ペンタローネ」が原作です。
東京国際映画祭にて、一足お先に観てきました!

「五日物語」に存在する3つの王国。
1つの国では、不妊に悩まされる女王が 何を引き換えにしても子供を持つことを求めている。1つの国では、老婆が美しさと若さを求め 女好きの王の妃に成り上がる。また1つの国では、恋や結婚を夢見る王女が 無理やり結婚相手をきめられてしまう。

まさかここまで残酷、ダークすぎる!過激すぎる!という内容だとは思わず。私はゴア描写も平気なのですが、例えるなら”爪を剥がされそうになりかける””眼球寸前まで何かが迫ってくる”ゾクゾク感というのでしょうか。観ている最中も思わず絶句してしまいました。

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「五日物語」の大きなテーマ、それは”女性に眠る本性や欲望”。

登場する女性たちはみな欲望を抱えています。”子供が欲しい、母親になりたい”。”若さと美しさを手に入れたい”。”大好きな人と結婚して、幸せに暮らしたい”。あれ?これだけ聞くととっても普通の”願い”ですね。女性ならきっと誰しもが心に眠る願いなのではないでしょうか。そんな誰もが持っている”願い”が恐ろしい事態を引き起こしてしまうのは、彼女たちの”欲望”がいきすぎてしまっているからです。

映像の美しさもまた、この物語のおどろおどろしい雰囲気をいっそう盛り上げていました。

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この女王が真っ黒な服に身を包み、真っ赤な巨大な心臓にかぶりついている衝撃的なシーン。壮麗なお城やきらびやかな衣装。黒や赤といった刺激的、攻撃的な色の服を見にまとう女王と 彼女の息子のこれまた天使のような清らかなルックス。みずみずしく並ぶ色とりどりの果物から漂う、官能的なにおい。

また「不思議の国のアリス」を彷彿とさせるシーンや、「シンデレラ」を思い出させる衣装も登場してファンタジー好きには嬉しいばかり。もっとも皮肉なことにアリスやシンデレラのように、ハッピーには物語は進まないんですけれどね。

“欲望”を持ち、自分だけが幸せになることを望み、何かをのし台にしては決して幸せにはなれない。1度”狂気”を心に宿してしまったら、後戻りができない。
女性も、男性も、人間皆が欲望は胸に秘めていることでしょう。内なる狂気もまたこの「五日物語」に出てくるキャラクターたちだけではなく、全員が持っているものなのかもしれません。

先人たちはこうした教訓を、おとぎ話にのせて時代を超えて、私たちに伝えてきているのかもしれませんね。もっともこの「五日物語」の作者は、どれだけ女性に怖い思いをさせられたのか気になるところですけれど。

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“痛み”や”怯え””恐れ””嫉妬”といった生々しい感情、人間の残酷さ、狂気。それらを包み込む美しい衣装や装飾、映像。血のりが心にべっとりと張り付いたような後味が楽しめる作品です。ダークファンタジー好きの方にはたまらない映画だと思います。
これを観て「やっぱり女って怖い!」となってはいけません。登場する女たちは”普通よりちょっといきすぎちゃった”ヤバい女たちなのですから。

冬はぜひこの「五日物語-3つの王国と3人の女-」で、背筋も凍るような美と狂気に満ち溢れた世界を堪能してみてはいかがですか?

Writer

Moeka Kotaki
Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)

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