夏の大穴作品!映画『ターザン:REBORN』感想・レビュー

7月1日公開 『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』や、9日公開 『インデペンデンスデイ リサージェンス』、8月11日公開 『ジャングルブック』 『X-MEN:アポカリプス』などなど大作に挟まれ、やや影の薄い印象となってしまった 『ターザン:REBORN』。

7月30日に日本公開が始まったこちらの映画、筆者もそれほど過度な期待はせずにスクリーンと向かい合ったのだが、とんでもない!
舐めてかかった自分を土下座のち平謝りさせたくなるほどに、エンターテイメント性溢れる傑作だったのである。

超大作とは言えないけれど……

確かに、超大作かと言われれば、首を縦には振りづらい。
超大作の言葉の定義にもよるが、日本ではそれほど盛り上がりを見せていないように思えるからだ。
冒頭と重なるが、同時期の大作と言われる作品に比べて、あまり作品の存在感が感じられないのが原因なのではないだろうか。

不勉強な筆者は正直なところ、ターザンについての知識をあまり持ち合わせてはいなかった。
ターザンと言って思いつくのは、小説が原作なこと数多くの映画化作品があること、あとは子供の頃に「ア〜アア〜」とターザンロープで遊んだことくらいだ。
「ア〜アア〜」が小説のセリフなのか、映画のワンシーンなのか、全く関係がないのかすら分からない。

ターザンロープはこちら。ぐるりと回る進化系です 日都産業HPより

ターザンロープはこちら。ぐるりと回る進化系です 日都産業HPより

調べると、 原作小説の『ターザン』シリーズは、ハヤカワ文庫から刊行されているものが一番多く、そのほとんどが70年代〜80年代前半に集中している。
また、映画をみると1932年、59年、81年に 『類猿人ターザン』が公開されており、99年にはディズニーがアニメ映画を製作し、若い世代もターザンに触れる機会はあったものの、ターザン世代と呼ぶべき年齢層は、大体50〜60歳前後の方々になるだろう。

そう考えると、『ターザン:REBORN』はその世代を取り逃がしたように思えなくもない。
近年でいうと、『スターウォーズ』や『スタートレック』など、昔観ていた層と当時を知らない若い世代とを両方を囲い込めた成功例に比べると、それに続くことができなかった感はやはり否めない。

とはいえ、ターザンを演じた主演のアレクサンダー・スカルスガルドは、洋画や海外俳優好きなら既に知った顔。
このイケメンのスウェーデン俳優は「世界で最もハンサムな顔100人」の常連でもあり、日本でもすでに数多くのファンがいる。

さらに、アレクサンダーは日本公開前に緊急来日しイベントにも登場、しっかりと話題作りをしていったので、若い世代へのアプローチはうまくいったのではないだろうか。

来日時のアレク 『ターザン:REBORN』公式サイトより

来日時のアレク 『ターザン:REBORN』公式サイトより

ちなみに、彼の父親は 『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのウィル・ターナー役や、 『アベンジャーズ』シリーズのセルヴィグ教授役を演じたステラン・スカルスガルドである。
アレクサンダーを知らない洋画ファンも、これを知って親近感が湧くのでは。

『ターザン REBORN』は新しいターザンだ!

『ターザン REBORN』は、過去の作品とは一線を画するという。

それまでの多くの映画化作品と違い、ヒロインであるジェーンと結ばれたターザンことジョン・クレイトンが、英国で暮らすようになってからその後、ある人物の策略によって再びジャングルへと呼び戻されるといったところから始まるのである。

目を奪われるアクションシーン

まず、いきなり冒頭シーンで呆気にとられた。

マッドマックス 怒りのデス・ロード』のウォーボーイズを彷彿とさせる白塗り部族が、とてつもなくかっこいい立ち回りを見せるではないか!

後ろにいる何人かがウォーボーイズです 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイトより

後ろにいる何人かがウォーボーイズです 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイトより

画面いっぱいに踊る激しいアクションが、ダイナミックかつスタイリッシュに展開され、一瞬で心を奪われること間違いなし。
野性味溢れるイメージから垢抜けて洗練された演出が、ターザン登場前にして早くも感じられたのである。
アクションシーンは全て優雅ささえ感じさせる淀みのない流れで、見ているだけで血湧き肉躍るような興奮を味わえること間違いなしだ。

リアルな背景で受け入れやすい

ターザンが動物の言葉を操り、彼らと意思疎通を図る、という画はひとつも出てこない。
遠吠えなどで多少のコミニュケーションは図るものの、基本的には言葉は使わずに、態度や行動で心を通わせている。

また、自然の世界の掟に逆らわず、元は家族であっても対峙しなければならない相手に向かっていくその姿は、ジャングルの王者ではない。
彼は動物たちを従え、その頂点に立つ者ではないのだ。
自然と、そして動物たちと共に生きる仲間であり、皆がジャングルの一部。
決して人間のエゴを出さず、傷付いても、傷付けられてもその世界を裏切ることなく受け入れる、そして受け入れてもらおうとするターザンの根本は、やはり生まれ育ったジャングルにあるのだと強く思わせてくれる。

そういったファンタジーには頼らないある程度のリアルさが、シラけることなく物語に没入させてくれる。
原作ではSFチックな要素もあるようだが、この作品においては、実はターザンは動物の言葉をしゃべれます!別れた家族との絆で無事ジャングルに帰れました!なんて都合のいい設定が出てきたら、ここまで評価することはなかっただろう。

植民地時代のコンゴや、奴隷として扱われた原住民など、実際の歴史をうまく物語と絡めているのもポイントだ。
サミュエル・L・ジャクソン演じるキャラクターも実在した人物であり、フィクションとノンフィクションを融合させ、より「ありえそうな」物語になっているのが新しいターザンと言える、ひとつの理由である。

 

自然が寄り添う単純明快なストーリー

往々にして、主人公にクローズアップし過ぎると作品自体のスケール感がなくなってしまうことがよくあるが、この作品は違う。
ターザンというひとりの男の物語ではあるが、舞台を英国からジャングルに移した途端、その壮大さと開放感に体が震える。
常に自然が隣り合わせにいる物語であり、それを感じることができるからこそ愛する女性を助けに行く、というごく単純なストーリーが、その世界に閉じ込まらずに開けていく。

広大な土地を映した画だけでなく、猛スピードで走る列車をツタを駆使して追いかけるシーンでもジャングルの広さを感じられるし、そこで出会う動物たちの数をみるだけで、その大きさを感じることができるだろう。 クライマックス、動物たちと原住民たちが勢揃いするシーンでは、壮観な景色に拍手を送りたくなるほどだ。

自然が舞台だからこそ、ごちゃごちゃと飾り付けないシンプルなストーリーが映えるのかもしれない。

女子にオススメの一作

アレクサンダー・スカルスガルドがイケメンだから、というだけではない。
ヒロインのジェーンが、女子が好感を持てるキャラクターとして魅力的なのだ。

ただ王子様を待つお姫様、というわけでなく、好奇心旺盛で自ら考え行動的する、現代の女性にも通ずる強さを持ち、その上でそんな自分を守り抜いてくれるヒーローが現れるのだから、それに憧れない女子はいないだろう。

この作品は、アクションやアドベンチャーにドキドキするのと同時に、固い夫婦の絆にもドキドキキュンキュンさせられる、極上のラブストーリーでもあるのだ。


結末も後味よく、十分に満足感を得られる。
まさに、痛快活劇と言わざるを得ない傑作『ターザン REBORN』。
新しく誕生したターザンの物語を、先入観を捨てて、あなたもぜひその目に焼き付けて欲しい。

【レビュー】『ターザン:Reborn』はある意味王道だが、物足りない点も…

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About the author

洋画・海外ドラマ大好きマン、海外俳優オタ。 映画をスクリーンで観賞することが好きで、映画館にはほぼ毎週通っています。 誰が読んでも分かりやすい記事を書くのがモットー。

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